日本応用数理学会誌2008年 9月号

作成日:2006-08-18
最終更新日:

ワクチン政策のパラドックス

表記の論文が掲載されている。中国での鳥インフルエンザを例にした数理モデルによると、 家畜へのワクチン接種率を上げると総感染個体数が上昇する、というのである。 このパラドックスを読んで、理解したい。

なぜパラドックスが生まれるのか

本稿を読むと定性的にはこういうことらしい。 中国が家禽に対するワクチン接種政策をとったときでも、鳥インフルエンザが流行していた。 このときのウイルスは、以前の流行が確認されていない種、すなわち未確認種であったということだ。 さらに、ワクチン接種した家禽は、未確認種に対して十分な免疫を得ていなかったことが明らかになった。 つまり、政策によってワクチンに対する抵抗力があるウイルスが選ばれて、それが流行してしまった、 ということが成り立つ。これを数理モデルであらわした式を本稿で解説されている。

感染症の数理モデル

本稿で最初に述べられているのが、感染症の数理モデルとして名高い Kermack-McKendrick モデルである。これは、佐藤總夫の『自然の数理と社会の数理 2』で述べられている。ここからだな。

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