日本応用数理学会誌2006年12月号 |
作成日:2006-11-19 最終更新日: |
応用数理の散歩道を読む。 著者は商業数学(もしくは経営数学)の発展を願っているようだ。 私も同感だが、商業数学や経営数学は難しいと思う。
<ポスト冷戦過程としての「支持政党なし」層の増加>という論文を読んだ。 なぜ今頃になって読んでいるかというと、政党名「支持政党なし」、略称「支持なし」 という政治団体がこのあいだの参議院選挙で有名になったから。 実際に「支持政党なし」は引用符付きで本文には多く引用されているし、 略称「支持なし」も図表の凡例として何度も使われている。 この名称は、おそらく、データの引用元「社会階層と社会移動調査」(以下SSM調査) での区分名にならったものだろう。 他の本でもSSM調査ということばを見たので、 日本の有権者の支持政党を調べるうえで、SSM調査は必要なものには違いない。
著者は「支持政党なし」層が増加した理由を「警戒減少仮説」という名前で説明している。 これについては同論文をみてもらいたいが、別の仮説も紹介している。 その一つは「政治不信」と紹介したうえで、この仮説について 著者はこのように述べている。
「支持政党なし」層の増加を政治不信によるものと説明する仮説はきわめて一般的である. だがそこで問題になるのは,いささか日常用語となってしまっている「政治不信」とは何か, ということである. 例えば「政党を支持することから何も得るものがない」ことを政治不信と呼ぶなら, これ自体で「支持政党なし」層を説明するのはほとんどトートロジーである.
なるほど。
もう一つ気になることがある。 この表題からポスト冷戦がなんらかの文脈で出てくるはずと予想したが、 私が見たところ本文には見当たらなかった、 ということである。これについてはもう少し考えたい。(2016-07-17) 。
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