日本応用数理学会誌2003年 9月号

作成日:2015-06-20
最終更新日:

逆問題

昔から逆問題ということばが気になっている。一般的な定義は私の手に余るので、 実例でごまかそう。たとえば、CT がある。CT は X 線などの非破壊的な計測装置から画像を複数枚得て、 その画像から人体の構造を再構成する方法である。 通常の問題を順問題ということにすると、順問題は体内の構造から得られる画像を推定する問題に相当する。 CT は画像から体内の構造を推定するから逆問題である。

さて、応用数理にある「リーマン球面への射影によるボアソン方程式のソース項同定法」では、 そのような逆問題の一つを扱っている。道具立てはこうだ。人間の中では生命活動によって電気の源(ソース)が多数ある。 しかし、実際に観察できるのは体外からでしかできない。ソースの数や位置、強さを推定することによって、 生命活動の謎に迫りたい(実際の論文での目的はもっと抑制された表現である)。さて、どうすればよいか。

これから先はポアソン方程式とかポテンシャル場とかグリーンの公式とかカタカナが出てくるのでついていけない。 ついていけるようになりたいものだ。

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MARUYAMA Satosi