日本応用数理学会誌2002年6月号

作成日:2002-06-17
最終更新日:

本誌を見ると、「交通流の数理」とある。何人かの著者で論文をまとめている。 そのうち、ある著者の紹介文には、「受賞,著作ともになし」とあった。正直で、 何といい人なのだろう。この号の末尾にあった学会記事と比べるとよくわかる。 ここには名誉会員の紹介があり、名誉会員は過去この学会の会長を勤めた方ばかりであり、 その中の何人かは何とか賞をたくさんもらっているのだ。

この交通流というのは、物理学者も注目しているらしい。 物理のある系の実験が、実際に起こっている道路の交通流とよく似ているようだ。 ということは、渋滞でイライラする運転者は、壮大なシミュレーションの一部なのだ。 なんとすばらしいことではないか。私はこの実験にほとんど参加できないのが残念である。 参加するのは、たまに中央高速で高速バスに乗っているときだけである。

論文誌を見ると、私の見知った先生が著者となっている論文がある。 しかし、難しいのでわからない。

別の論文を見ると、こんな標題である。 「小売業における特別展示商品に対する最適発注量−鏡及び上げ底の効果−」 「鏡」と「上げ底」ときて、少し驚いた。 この二つの道具は、実際より商品を多く見せることによって、 「商品がたくさん陳列されている(ように見える)ときほど、 単位時間あたりの売れる個数が多くなる」ことを実現させるためのものである。 こんなことも論文のネタになるのだなあと感心していた。もっとも、 単純化された最適発注量の公式は、数学モデルを解けば出てくるから、 このような解析も意味があるのだろう。この論文では、 「多数の数値例をグラフとともに小売現場の管理者に見せて意見を聞いたところ, ほぼ,これまでの経験に合致するという回答を得た.」とある。 この経験とは具体的には何を指すか、知りたい。 蛇足ながら、上げ底は展示売り場で良く見るが、鏡はほとんど見ない。本当に、 そのようなディスプレイにしているのだろうか?

まりんきょ学問所数学の部屋


MARUYAMA Satosi