坂東眞理子、上野千鶴子:女は後半からがおもしろい

作成日: 2011-06-07
最終更新日:

富山県の二人

かたや「女性の品格」著者の坂東眞理子、かたやフェミニズムの旗手の上野千鶴子、 この両氏は水と油なのではないかと私は思っていた。 私の考えはこうだ。「女性の品格」という名称で坂東が出した本がある。 きっと、この本は古典的な女性のたしなみを持ち上げ、礼賛するものではないか。 もしそうだとすれば、そんな古くからの価値観に縛られる女性観など糞くらえ、 というのが上野の役回りではないか。

このような予想から激論を期待していたのだが、あてがはずれた。 けっこう和気藹々と対談をしている。これは、同じ富山県出身ということからか。 また、互いに高学歴ゆえの尊敬か。はたまた、女性同士が組むことの大切を知っているからか。 私は、火を噴くような激論よりは穏やかな対談が好きだから、こちらのほうがありがたい。 なお、激論で唯一感得したのは、平泉渉と渡部昇一の「英語教育大論争」である。

両者の合意

通読して、両者の意見が一致するところが多くある。 たとえば、90ページ、坂東がこういう。

今、男性たちが「最近は女性のせいで家庭が崩壊している」と嘆いているけれど、 一番家庭崩壊をさせたのは男性なんですよね。(後略)

これに対して上野は、「おっしゃるとおり!」と賛意を表す。 この項一つとってみても、二人は気が合うようだ。

もちろん、対立するところもあるようだが、そこは相手を敵とは思わない抑制が働いているのだろう。

男の後半はどうすべきか

女性蔑視(男性蔑視)の文章や発言を指摘されるとき、その発信者はこんなようにいうことがある。 「これは女性(男性)が蔑視されたと書いてあるように見えて、その実は女性(男性)に限らず、 人間全体を蔑視しているんですよ。」

女性の後半は、対談の二人にとっておもしろいだろう。だからこういう本が生まれた。 男性の後半はどうだろう。私はおもしろくさせたい、と思うけれど、 あまり友達もいないし、地縁もないので、ぼんやりするしかないだろう。 そのときに天罰が加わる予感がする。

書 名女は後半からがおもしろい
著 者坂東眞理子、上野千鶴子
発行日
発行元潮出版社
定 価円(本体)
サイズ
ISBN978-4267018749

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MARUYAMA Satosi