秦 恒平:東工大「作家」教授の幸福 |
作成日: 2016-01-01 最終更新日: |
作者が4年間、東工大で実践した授業の「付録」。著者の言を借りれば東工大の名に借りたいわば「一般教育」の論
。
著者は東工大の一般教育の教授として招かれた4年間、毎回受講生に詩歌の一部に穴を開けた「虫食い歌」を埋めさせていた。 虫食い歌はたとえば次のようなものである。
これらの歌を初めとして、当時の受講生はどんな解答をしたのだろうか。それを知りたい。なお、与謝野晶子のこの歌に関しては、 いろいろな回答があったことがこの本でわかる。
私が高校生だったとき、東工大にはなぜ文学の著名人が多かったのだろうと思った。江藤淳や入沢康夫がいたし、確か大岡信もいたような気がする。 文学ではないが、足の裏で有名な平澤彌一郎もこの大学だったし、当時私が聞いていたラジオ講座で、英語の講師だった松山正男も東京工業大学に勤めていた。 そして、数学の遠山啓もここで教えていて、思想家の吉本隆明が遠山に教わっていて「詩を作るより田を作れ」と言われたとか、そんなことも気になっていた。
私は結局東工大には行かず別の大学に行くことになるのだが、もし東工大で一般教育を学んでいたらどうなっていただろうか、と思うことがある。
ちなみに、私は理系として入った大学で取得した一般教養科目は、人文科学は人文地理学と論理学、社会科学は法学と社会学だった。どれもそれぞれに思い出はあるが、 それが人生を変える何かになったのかはわからない。それを言うなら、一般教養の自然科学も、そして専門に進んだ後の科目でも、 よくわからない。
書 名 | 東工大「作家」教授の幸福 |
著 者 | 秦 恒平 |
発売日 | 1997 年 7 月 19 日 |
発売元 | 平凡社 |
定 価 | 1800円(税別) |
サイズ | |
ISBN | 4-582-82909-0 |
その他 | 古本屋で買う |
NDC | 914 |
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