見積の練習

作成日:2004-10-25
最終更新日:

情報システムの見積

情報システムの見積は本当に難しい。だからといって避けて通ることはできない。 私が読んでいる本には、こんなことが書かれていた。 まだプランの決まっていない住宅の見積でも、 敷地面積はわかっているのだから住宅部分もわかるだろう。 なるほど、おっしゃるとおりである。 しかし、情報システムを作るときには、住宅の面積にあたるところがわからないのだ。 これは困る。

ソフトウェアの開発規模を見積もるシステムを見たことがある。 いろいろな条件を入力すると規模を提示してくれるシステムである。 ただ、このシステムでも、開発のごく初期の段階では精度の高い見積をすることができない。 入力は、分野(たとえば、ネットワーク対戦型ゲームか、軍事シミュレーションか、 原子力発電所プラント設計用か、などなど)と規模(大、中、小)のみを入れるだけである。 私はその割り切り方に感心した。しかし、考えてみればそのぐらいしかわからないのだ。 否、分野でも波及的に広がるかもしれないし、 規模の算定もはっきりした基準がないため大きく変動するかもしれない。 そう考えると、ますますわからなくなる。でも「見積はしないよりまし」である。 見積のための種々の条件を考えることが、よりよいシステムを作ることにつながる、 という主張があるが、わたしもその通りだと思う。

簡単な見積

情報システムの見積は難しい、と書いた。訓練もたやすいことではない。 そこで、軟弱な私は、もっと簡単な、情報システムではない見積を考えた。 総譜からパート譜を作るという作業(写譜)をプロジェクトとみなして、 この作業時間を見積もることを試すことにした。

この見積作業は、住宅の価格を出すより易しい。なぜかというと、 総譜には、曲の小節数が書いてある。そこで、小節あたりの作業時間を求めれば、 写譜作業全体の時間が見積もれるということになる。 すなわち、1小節あたりの単位作業時間を u (時間/小節)、写譜の見積時間を T (時間)、 譜面の小節数を B (小節)とすれば、次の式が成り立つ。

T = u * B

問題はuをどのように推定するかであるが、 部分的に B0(小節)を T0(時間)で仕上げたとすれば、 次のように単位作業時間を推定することができる。

u = B0 / T0

後ほど、実測した結果をお知らせする。

もっと簡単な見積

もっと簡単な見積りをしてみた。 購読した雑誌を捨てる前に、大事な情報はデジタルカメラに撮っておく。 これを撮る時間を計測した。 撮る時間と雑誌のページをめくる時間を合わせて、 見開き1面あたり10秒であった。これで見積もれる。

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MARUYAMA Satosi