要求定義・要求仕様書の作り方

作成日: 2006-12-23
最終更新日:

顧客の要求をまとめる方法、 それから要求を仕様として表現する方法が紹介されている。

著者は企業の実務者であるが、多少固いところがある。 文献の比較が綿密に行なわれていることは長所であるが、 これにとらわれると実践しにくい。 自分が行なっていることに引きつけて考えるべきだろう。

それから、最初に定義なしの用語が出てきて面食らっていると、 後を読んでみてその意味がわかるという個所がいくつかあった。 たとえば、28ページでシステム要求仕様として SyRS という用語が定義される。 なぜ SRS ではないかという疑問が生じるが、これは後に解消される。 54ページで新たにソフトウェア要求仕様ということばが定義され、 この略称に SRS を用いているからだ。 また137ページでは、定義なしに AP ということばが出ている。 後の文章から AP はアプリケーションの略であることはわかるが、 定義がないと読み進めるのが不安である。 AP がアプリケーションであることは、 143ページで初めて明示されている。 要求定義書を書く場合は、他山の石としよう。

それから、UML(統一モデル言語)の説明が浮いているように感じる。 もちろん、要求に対する仕様を明示するのに UML は優れた記法であるが、 本書では UML の記述法に比重が置かれている。 本書の観点では、要求定義書の書き方として、 要求に対応するにはどうしたらよいか、 あるいは相互に要求や仕様の整合性をとるためにはどうしたらよいか、 そのような観点がより強ければよいと思った。

書 名〜要求を可視化するための〜要求定義・要求仕様書の作り方
著 者山本 修一郎
発行日2006年2月25日
発行元ソフト・リサーチ・センター
定 価2000円(本体)
サイズA5判238ページ
ISBN4-88373-222-3

まりんきょ学問所コンピュータの部屋コンピュータの本要求工学 > 要求定義・要求仕様書の作り方


MARUYAMA Satosi