ビジネス実務法務検定試験
作成日:2018-05-04
最終更新日:
今回は 2 級の範囲内で確認する。なお、用語集も参照のこと。
債務の履行
契約により生じた債務に関して、契約で履行期を定めなかったとき、民法上ではこの債務の履行期は履行の請求を受けたときからとなる。
契約締結日ではない(民法 第412条)。
売買契約
売買契約で大事なことは、次のとおりである。
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売買契約は、売主と買主の意思表示が合致したときに成立する。そして、物件の設定および移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生じる。
ただし、この規定は任意規定である。
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民法上、特定物の売買においては、売買契約締結時に特定物である売買目的物に瑕疵があった場合でも、
売主が買主に対して当該目的物を提供することにより有効な弁済の提供と認められることがある。
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当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を追う。
よく「原状回復」というけれどこれを「原復」と略す人がいる。「元服」と間違えてしまいそうだが、そんなことはないか。
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商人間の売買において、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
そして買主が瑕疵・数量不足を発見したときは直ちにその旨の通知を発しなければ、それを理由とした(契約解除|代金減額|損害賠償請求)はできない。
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債務者は、弁済の提供の時から、「債務を履行しないことによって生ずべき責任」を免れる。
これは、「買主が目的物の受領を拒絶したことで履行期に債務を弁済することができなかったとしても履行遅滞には陥らない」ということを意味する。
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引き渡された目的物が(種類|品質|数量)に関して契約の内容に適合しないものであるときは、
買主は(目的物の修補|代替物の引き渡し|不足分の引き渡し)による履行の追完を請求することができる。
寄託契約
- 商法上での倉庫寄託契約では、寄託者に保管料を請求するのは受寄物の出庫するときだが、特約で変更可能。
- 受寄者から預かった受寄物を、受寄者が第三者に保管させる場合、民法上では寄託者の承諾を得なければならない。
- 寄託者が受寄物を引き取らない場合、受寄者は競売をすることが認められる。
- 保管期間の定めの有無を問わず、倉庫業者は、寄託者の請求があればいつでも受寄物を返還しなければならない。
- 商法上では、倉庫営業者が(自己|使用人)が受寄物の保管に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り、
その(滅失|毀損)について損害賠償の責任を免れることはできない。ただし約款では、損害が(倉庫営業者|使用人)の故意または重過失により生じたことを
寄託者が証明しない限り倉庫営業者は責任を負わない旨の規定が設けられるのが普通。
製造物責任法
- 対象は(製造|加工)された動産。未加工の農林水産物、鉱物は対象外。また不動産やサービスも対象外(だから施工された結果としての住宅は含まない)。
- 賠償される損害は人の生命、身体、または財産に生じたものに限られる。
- 欠陥には次の態様がある。
- 設計上の欠陥
- 製造上の欠陥指示・警告状の欠陥(組み立てマニュアルの不備もここに入る)
仮差押
- 金銭債権につき、強制執行の保全の目的で、債務者の財産処分を禁ずる暫定的処置
- 仮差押の対象は、不動産・動産・債権などすべて。
- 保全すべき金銭債権の弁済期が到来していない場合や条件付債権の場合でも、仮差押えの申立てをすることができる。
- 仮差押命令を得るためには、裁判所における審理において貸金債権の存在および仮差押えの必要性について、疎明で足りる。
- 他の債権者に先んじて仮差押を申し立てた場合でも、他の債権者に優先して当該建物から債務の弁済を受けることができるとは限らない。
独占禁止法
独占禁止法が禁止するもの
- 私的独占
- 不当な取引制限
- 不公正な取引方法
不当な取引制限の本質
- 相互拘束。紳士協定のような弱い協定も相互拘束あり。
不当な取引制限の類型
不公正な取引方法に該当しない例
- 卸売業者と小売業者の契約で、部品を100個単位での納入とし、100個未満の端数では納入しないこと、売れ残った部品を卸売業者は小売業者から引き取らない。
- 食品メーカーが原材料の産地を指定し、当該産地で収穫された原材料のみを納入することを条件とする行為
合弁事業
ここで組合契約とは合弁事業を行うための民法上の組合契約をいう。
- 組合契約における出資は、金銭に限らず、不動産などの現物、特許権などの権利、労務など財産的価値のあるものであれば出資の内容とすることができる。
- 組合契約における損益分配の割合について定めのない場合は、その割合は出資の価額に応じて定められる。
連帯保証と通常保証
ここで、通常保証とは、連帯保証契約ではない保証契約を言う。また、下記は民法による。
- 通常保証も連帯保証と同様、書面によってなされる必要がある。
- 保証人が主たる債務者に代わって債権者に対して債務を弁済したとする。
このとき、これら保証人は連帯保証、通常保証にかかわらず、主たる債務者に求償することができる。
- 保証人が複数いる場合は、ある保証人が主たる債務者に代わって債権者に対して債務を弁済したとする。
このとき、債務を弁済した保証人は連帯保証、通常保証にかかわらず、他の保証人に求償することができる。
- 通常保証人は催告の抗弁権を有するが、連帯保証人はこれを有しない。
- 通常保証人は保証の債務は頭割りである(分別の利益)。
しかし連帯保証人は分別の利益は認められない。
民事訴訟手続
- 裁判長には訴状審査権が認められており、訴状に不備があれば裁判長は相当の期間をさだめ、
その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。
- 当事者が証拠の申出をした場合であっても、裁判所はその裁量により、当該証拠の証拠調べを実施しないことができる。
- 裁判所は、判決にあたり、口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果を斟酌して自由な心証により事実認定を行う。
- 裁判所は、口頭弁論が終結した後でも、両当事者に対し和解を試みることができる。
- 当事者が在廷しない場合においても、判決は言い渡せる。
業務委託
A社を委託者、B社を受託者とする。
- 請負契約で成果物の引き渡しを目的とする場合で、支払時期の定めなく、また請負代金が支払われていないときは、
B社から引き渡しを受けるときにA社は請負代金を支払わなければならない。
- 改正民法では、売買と同様、請負契約における目的物に契約不適合が存在する場合、
注文者の請負人に対する追完請求権が認められている。
すなわち、請負契約で成果物に瑕疵があれば、B社への帰責事由にかかわらず、A社は瑕疵修補を請求できる。
- 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
- (準)委任契約に該当する場合、B社による委託業務の遂行が不十分であったためA社が損害を被ったとしても、
B社に帰責事由がないときはB社に対して債務不履行による損害賠償を請求することはできない。
- (準)委任契約の場合、B社が委託業務を完了する前であっても、委託業務を完了した後であっても、
A社は本件業務委託契約を解除することができる。(民法では、「委任は各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定められている。
景品表示法
- 正常な商慣習に照らして(値引|アフターサービス|当該取引に係る(商品|役務)に付属する)と認められる経済上の利益は、景品類には含まない。
- ある広告における表示について総理大臣から裏付けとなる合理的な根拠の提出を求められても一定期間に提出しないとき、
総理大臣の行う措置命令については不当な表示とみなされる。
民事再生手続・会社更生手続
以下、民事再生手続・会社更生手続の対象となる会社をA社とする。
- 民事再生法による再生手続きでは、原則として従前のA社の取締役らがA社の業務を遂行し、A社の財産を管理し処分する権利を有する。
- 民事再生法による再生手続きでは、再生計画案は、一般に債権者集会における決議または書面による決議がなされる。
- 再生債権者財産に関し、再生債務者などが再生手続き開始後にした資金の借り入れ等の請求権は共益債権となる。
ここで共益債権とは、再生手続きによらず再生債権に先立って随時弁済される債権である。
仲立人
- 仲立人の義務には、善管注意義務がある(単なる自己の財産に対するのと同一の注意では足りない)。
- 仲立人は結約書を商行為が成立してから遅滞なく作成する必要がある。商行為の成立の前ではない。
- 当事者が、自分の氏名・商号を相手方に示してはならない旨仲立人に命じたときは、仲立人は結約書および帳簿謄本に氏名・商号を記載してはならない。
- 仲立人は商法所定の事項を記した帳簿を保存する義務を負う。
また当事者の請求があればその当事者のために媒介した行為についてその帳簿謄本を交付しなければならない。
- 報酬に関する約定をしていなくとも、仲立人は商人として相当額の報酬を請求することができる。
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