ゲーム理論を扱った論文に、面白い話がある。 生存競争、適者生存とは、自然環境との戦いでなく、仲間との戦いだという。
次のジョークが紹介されている。 ある哲学者とその友人がクマに襲いかかられたときのことである。 二人は一生懸命逃げたが、途中で友人が叫んだ。 「むだだ。しょせんクマより速く走るなんてできやしない」 哲学者は答えた。「クマより速く走る必要はない。 君より速く走らなければならないだけだ。」
別の話もおもしろい。必要以上に強い足の羚羊や、 必要以上に大きな嘴をもったフィンチは、 その維持コストに耐えきれず生存競争に負けてしまう。 生き残るために必要なことは仲間より少しだけ優れていることである。
まりんきょ学問所 > 人工知能 > 人工知能学会誌を読む(1997年 3 月号)