My Secret Life / ERIC BURDON (SPV:SPV085-70032CD)1.Once Upon A Time 2.Mortorcycle Girl 3.Over The Border 4.The Secret 5.Factory Girl 6.Highway 62 7.Jazzman 8.Black And White World 9.Heaven 10.Devil Slide 11.Broken Records 12.Can't Kill The Boogieman 13.My Secret Life |
待ち焦がれていた、エリック・バードン10年振りのスタジオ録音作。もっとも、『Lost Within The Halls Of Fame』は純粋な新作とは認め難いものがあったので、88年の『I Used To Be An Animal』以来、と言ってもいいだろう。 かつて香港でエリックに会ったとき、「新作は2000年、2冊目の自伝本と一緒にリリースする」と言ったその構想は、ドイツにおいてようやく(ドイツ語の自伝本は、『My Secret Life』というタイトルで最近になって出版、CD付、アルバムと同じ写真を表紙に使ったハードカヴァーの立派な装丁で出されている。)実現した。 曲目は、2、5、6、7、8、9、10、11、12がエリック本人の作。表題曲となった13はレナード・コーエンの作品。1.のように「The Weight」のようなリズムを持った、レイド・バックした曲もあれば、3.は70年代半ばから現在に至るまでのエリックらしさが最もストレートに出たロック、7.はそのままジャズ、8.はスカのノリ、そしてもちろんブルーズ…と、エリックには実はいろんな顔があることを改めて認識させてくれる。もう5〜6年前になるが、エリックが「次のアルバムのタイトルは、『Court of Many Colors』になると思う」と言っていたのは、こういうことだったのだろう。 最高にカッコいいのが、10.の「Devil Slide」。エリック一流の語りから入るこの曲、マディ・ウィーターズとの会話(本当にあった話しかどうかは、わからない)を思い出す形で始まるのだが、その語りが滅茶苦茶格好いいのだ。詳しくは是非その目と耳で確認して欲しいのだが、「GRASS - IS - BEST!」のくだりや、「Eric, look out! Here comes the Devil Slide!」なんてところは、何度聴いてもシビレてしまう。 アルバム・クレジットは、見ての通りエリック個人の名義。ブックレットを見ても、現在のエリック・バードン&ジ・アニマルズのメンバーで名前があるのははマーティン・ゲルシュビッツだけ。いつ頃の録音かということはわからないが、もうかれこれ1年半くらい前に、「マスタリングが終わった」という話を聞いたことがある。エインズリー・ダンバーの名前も無いところを見ると、2002年6月以降〜2003年前半くらいまでではないかと思うが、これはあくまでも憶測で上に述べた事実の他に根拠は無い。 プロデューサーは『Comeback Sound Track』等でドラムを叩いていた、Tony Braunagel。録音はカリフォルニア、Ultratone Studios。参加ミュージシャンでちょっと目を引いたのは、Mike Finnigan(あの人か?)、Ivan Neville(ネヴィル・ブラザーズ、Aaron Nevilleの息子さんらしい)。その他の人たちは恥ずかしながらその名前でピンとくるような人はいないけれど、調べるといろいろなセッションに参加しているスタジオ・ミュージシャン達で、ジャズ系の人も何人か含まれているようだ。 エリックの健在ぶりを示す、丁寧に作りこまれた(何よりもそれが、僕には嬉しい)この快作に、僕は心からの拍手を送りたい。やったぜエリック! |