Roxy Music at Allstate Arena (July 30, 2001)

 

コンサート記

 

ロキシー・ミュージックを聴き始めたのは高校に入ってから。彼らの復帰第一弾「マニフェスト」が最初である。その時は、「おっ、いいじゃない」程度だったけれど、翌年に発売された「フレッシュ+ブラッド」で完璧に彼らの虜となる。そして、当然のごとく、一時休止以前の前期ロキシーを聴きあさる。どちらかというとオシャレな後期ロキシーよりも、ヒネクレた前期ロキシーの方を好んで聴いていた。「フレッシュ+ブラッド」が発売された1980年という年は、ジョン・レノンが射殺され、レッド・ツェッペリンが解散した年である。北海道の田舎街に住んでいた中学生の私には外タレのコンサートなどは無縁だった。そう、これからという時に最もコンサートが見たかった人たちが消えていった。「これから、何を楽しみに生きていけば良いのだ。そうだ、ロキシーだ。彼らのコンサートが見たい」と心に誓ったのが1981年。その翌年、何と最後のアルバム「アバロン」が発売される。そして、解散ツアー。でも、札幌には来ない。現在のようにインターネットでチケットが買える時代ではない。東京公演などに行ける筈もない。泣く泣く諦める。そして、川崎で働くようになって、さすがにジョン・レノンは無理だけれど、ポール・マッカートニーやジョージ・ハリソンそしてジミー・ペイジ(でも、残念ながらボーカルはカバーデル)の雄姿を観ることができた。そして、今回はシカゴでロキシー・ミュージックである。待つこと20年。えっ、20!? とても長かった。

 

このコンサートを前に彼らの作品を全て買い直した。と、言うのは、レコードでしか聴いたことがなかったのだ。もちろん、こっちにはレコードもレコードプレイヤーも持ってきてはいない。しょうがいないので、全CD(ベスト盤ライブ盤除く)を購入。チケット代($75x2)もさることながら、高くついたコンサートである。そして、当日。会場は熱気ムンムン。やっぱり、客層がちょっと違う。中年層が多いのと、ロキシーのアルバムジャケットに出てきそうなオシャレなオネエさんが結構いる。そして、さっそくコンサート・プログラムを買おうと行列に並ぶが、なんと売り切れ。記念Tシャツも売り切れ。会場内の売店を全て回ったけれど全部売り切れ。計算が甘いよなー。もっと、用意しておかなきゃ。まったく、もう。でも、まあ、コンサートだけで十分だ。諦めよう。

 

そして、遂に開演。彼らの登場と同時に、会場内は爆発。大変な盛り上がりである。

 

Re-make/Re-model (Roxy Music)

Street Life (Stranded)

Ladytron (Roxy Music)

While My Heart Is Still Beating (Avalon)

Out Of The Blue (Country Life)

A Song For Europe (Stranded)

My Only Love (Flesh+Blood)

In Every Dream Home A Heartache (For Your Pleasure)

Oh Yeah (Flesh+Blood)

Both Ends Burning (Siren)

Tara (Avalon)

Virginia Plain (Roxy Music)

Avalon (Avalon)

Dance Away (Manifesto)

Jealous Guy (John Lennon / Imagine)

Editions Of You (For Your Pleasure)

(アンコール)

Love Is The Drug (Siren)

Do The Strand (For Your Pleasure)

For Your Pleasure (For Your Pleasure)

Bryan Ferry (vocal)
   Andy Mackay (saxophone)
   Phil Manzanera (guitar)
   Paul Thompson (drum)
   Chris Spedding (guitar)
   Colin Good (keyboard)
   Zev Katz (bass)
   Lucy Wilkins (violin, keyboard)
   Julia Thornton (percussion)
   Sarah Brown (vocal)

Yanick Etienne (vocal)

 

なんたって1曲目は「Re-make/Re-model」である。あのファースト・アルバムの1曲目に収められているメチャクチャワガママな楽曲。始めブライアン・フェリーは後方でキーボードを弾いており、どこにいるか分からなかった。でも、フィル・マンザネラとポール・トンプソンがメチャクチャカッコ良い。そして、途中から前に出てきたブライアンは相変わらず酔っ払いのサラリーマン風にシャフトしている。これがロキシーだ。間違いなくロキシーだ。「Out Of The Blue」では、ルーシー・ウィルキンスの非常にドラマティックなバイオリン・ソロが聴ける。もちろん、アルバムではエドウィン・ジョブソンのパート。今回、彼は不参加。そして、彼の前任者ブライアン・イーノも不参加。やっぱり、彼らどちらかには参加して欲しかった。イーノの方が知名度は高いけれど、個人的にはエドウィンの方が好き。前期ロキシーは彼の感性なくしては成立しえない。でも、それはあくまでもフェリーのサポートとして。やっぱり、ロキシーはフェリーのバンド。そういう意味では、イーノは異質な存在に思えるし、彼らの仲が悪かったのは頷ける。前半部分の山場は「My Only Love」である。非常に情緒的な曲で、フェリーは後方で弾き語り。そして、感動的なギター・ソロを決めるのがクリス・スペンディング。芸暦30年。ポール・マッカートニーからセックス・ピストルズまで、彼が携わったバンドは数知れず。「In Every Dream Home A Heartache」は、フェリーが前半部分を不気味に語り、最後はトンプソンのドラミングとマンザネラのギターで盛り上って終わりという、如何にもロキシーという曲。やっぱり、トンプソンは力強い。復帰おめでとうと言いたい。後期ロキシーに参加できなかったのは交通事故のためと言われているけど、実は後期の路線上、あの力強く、目立ってしまうドラミングは、フェリーに邪魔にされたのかもしれない。突然、4人のダンサーが出てくるのが「Both Ends Burning」。4人とも真っ赤なボディコンスーツで、60年代モータウン風の踊り。誰が、振付けたんだ?確かに、フェリーは、あの時代のモータウンのファンなのだろうけど、とっても奇妙。でも、長いコンサートの中、笑いが取れる演出というのは不可欠なのかもしれない。なんと「Avalon」では、あのアルバムで印象的なスキャットを披露していたYanick Etienne本人が登場。そりゃあ、盛り上ります。でも、想像していた人とはちょっと違った。その後、ジョン・レノンの追悼としてシングル発売された「Jealous Guy」も披露。そして、最後の「Editions Of You」で最高潮に盛り上がる。メンバーが手を振って引っ込んだ後、お決まりの再登場。アンコールの1曲目は「Love Is The Drug」。確かにヒットしたのかもしれないけれど、私が好きなのはShe Sellsの方。SirenB1曲目。昔、何度も、何度も、何度も、繰り返し聴いた。なぜ、She Sellsを演らない?確かに彼らのベストやライブ盤にも入っていない。単なる好き嫌いだろうからしょうがないか・・・。次は「Do The Strand」。そして、またダンサーズ登場。今度は、派手ハデ、羽ハネ、真っ赤っか。ま、良いでしょう。お祭りですから。最後の最後は「For Your Pleasure」。あれっ、ちょっと地味な選曲じゃない? 例えば、ストーンズがサティスファクションで締めるように、最後は一気に盛り上って終わるのが常でしょう?でも、それは素人の浅はかさ。最後は芸術的に、感動的に終わるのだ。メンバーが独りずつ、それぞれの楽器を置いて、舞台裏に消えていく。フェリー、マッケイ、マンザネラ・・・・、トンプソン、そして最後はコーリン・グッドで幕が下りる。シブイ! やっぱり、違う。そういえば、もし、イーノが参加していたら、イーノが手を振って幕が下りたのだろうか?