Robert Plant at Tweeter Theatre (August 24, 2002)

 

コンサート記

 

そうです。ロバート・プラントはカッコ良かったのだ。みんな、あの髪型を真似していた。ケイト・ハドソンが「あの頃ペニーレインと」のオーディションの時、プラント・ヘアで登場して即採用になったのは有名な話。元音楽評論家でツェッペリンのツアーに同行したことのあるキャメロン・クロウがイチコロなのは当然。当時のロックファンは彼の写真を美容院に持ち込んで、「この髪型にして!」と注文していた。それだけ影響力のあった彼であるが、チャラチャラせずにロック一筋みたいなところがスゴイ。実際、彼はツアーの最中はドンチャン騒ぎが凄くてホテルを破壊しまくったようだけれど、私生活の面ではいたってマジメなようで、あまり変な噂は聞いたことがない。イギリスの田舎で家族と静かに暮らしていたようである。「プレゼンス」レコーディングの前に愛息を亡くしたことで、その後、離婚することになってしまったようであるが、それ以外、いわゆる家族ネタというものには遭遇したことはない。派手なステージアクションとは裏腹に中世を思わせる幻想的な音楽にピッタリとハマッテいたし、何よりあの名作「天国への階段」の詩を書いたのは彼である。今にして思うと、ギターのリフを強烈に効かせた曲はジミー・ペイジの趣味で、幻想的な曲は彼の趣味だったのではないだろうか。そう考えると、やっぱり単なるビジュアル担当ではなく、音楽性に多大な影響を及ぼしていたのだろう。どうしても、このルックスのために軽んじられるところがあるけれど、他の3人に劣らない音楽性を持っていたと思う。

 

今更だが彼はレッド・ツェッペリンという20世紀を代表するロックバンドのボーカリストである。何だか遠い昔のことのようであるが、あのロバート・プラントなのである。ジョン・ボーナムが亡くなった時、ドラマーを新加入させずに、あっさり解散させてしまったバンド。非常に残念だったが、もちろん彼の代わりなどいる筈は無い。だから残ったメンバーは、解散後、再生できる筈はないツェッペリンを忘れようともがいていた。でも、それは出来ないし、周りが許してはくれない。奇しくも今回のコンサートで、それを実感することになった。約半数がツェッペリン時代の曲であり、それはそれでありがたかったのだけれど、やっぱり違う。違って当り前なのだけれど、ちょっと寂しくなったりもする。それは彼が未だに非常にマジメに音楽に取り組んでいる姿が何とも寂しいのである。いくら自分の新譜から新曲を披露しても誰も聞いちゃいない。みんなツェッペリンの曲をひたすら待っているのである。言い忘れたが、今回はザ・フーの前座である。チケットにはスペシャル・ゲストと印刷されていたが、前座は前座。もし、これがツェッペリンだったら立場は逆転していたに違いない。向こうだって、オリジナルメンバーは2人しか残っていないのだから、ジミー・ペイジとジョン・ポール・ジョーンズに声をかければ勝ちだ。何だかセコイ話だが、コンサートはお祭り。楽しければ良いではないか。もうジミーにはギターは弾けないというのなら、陰で誰かが弾いてあげれば良い。ドラムはモチロン、ジェイソン・ボーナムで決定。ちょっと、悪ノリが過ぎるかもしれないが、ロバート・プラントのソロをザ・フーの前座として観るよりはマシだということに気が付いた次第。コンサートがあると聞いた時は、速攻でチケットを購入したが、いざ、観てみると、ちょっと寂しくなってしまった。ナントも複雑な心境なのであります。

 

Setlist

If I Ever Get Lucky
Celebration Day
Morning Dew
Going To California
Calling To You
Fixing To Die
Four Sticks
Tall Cool One
Babe
I'm Gonna Leave You
(Encore)
Whole Lotta Love