関東私鉄ストーリー

お待たせいたしました。ご乗車ありがとうございます。

こんどは関東の方々にも満足頂きましょう。さぁ出発進行!!


 ●都バスの謎

電車と違ってバスというのは、どうもマイナーな趣味と思われがちだ。でもちゃんとバス関係の雑誌だって発売されているし、古いバスを買いとって走らせている愛好者団体もある位だ。

それにしてもバスというのは不思議な乗り物だ。というのはクルマの場合は全部メーカーで造られるが、バスの場合はシャーシ(足回りとエンジン)とボティを別のメーカーで造ることが多いようだ。三菱ふそうのシャーシに富士重工(スバル)のボディなんて、クルマでは考えられない組み合わせなども実際存在する。ボクが住んでいる金沢の近くでも日野車体とか呉羽自工等のボディのメーカーがあるので、時々とんでもない遠くの路線バスの新車が「回送」などの表示を出して納車されて行くのを見かけることがある。

しかし、隣の富山県で、その遠くのはずの路線バスがちゃんと営業運転しているという事実…?

この光景を見て、東京の人は「なんだ。都バスじゃないか」と思うに違いない。確かに、パッと見ただけなら都バスに見える。「この写真は都内某所で撮影しました」と言っても、誰もヘンに思わないかもしれない。

でもこれは、富山駅前の光景なのである。

こりゃ都バスだなあ

こっちも都バスか??

上の写真をよーく見比べてもらいたい。左は確かに都バス。そして右のは…「レッドアローの謎」に登場した富山地方鉄道のバスである。

使ってある色を見れば、アイボリー地に緑の太いストライプ、裾にはベージュ。全く同じだ。色調まで似ている。ただ、緑のストライプが都バスは後で斜めに「上がって」いるのに対し、地鉄バスは斜めに「下がって」いるという違いだけしかない!

ちなみに地鉄バスの写真を東京近辺在住の人に見せたところ、全員から間違いなく「都バス!」という返事が…。それ程そっくりなのは間違いない。

まぁ、ストライプのまわし方が逆だから完全な「盗作」とは言えないだろうけど、意識してるんじゃないか…とは十分に思わせるものがあると言えようか。都バスに慣れ親しんでいる人が富山へ旅行とか出張に来て、「あれっ!何で都バスが走っているの??」と思うのは無理もないかもしれない…。


ご乗車ありがとうございました。関東私鉄ストーリーはこれにて一応終点となります。「地下鉄銀座線ストーリー」並びに「関西私鉄ストーリー」同様、ご愛読頂きまして、ありがとうございました。

今回も部分開業から全線開業にこぎつけましたが、それにもかかわらずもう反響があったという事実は、まことに嬉しく思っています。またリクエストにも応えることが出来ました。今後も新たな話題を探して行く予定です。

今回のストーリーを書くにあたって、都内や富山での取材を敢行しました。写真はその時撮ったものが多いのですが、中には20年程前に撮ったものもあります。実はボクはスキャナーなぞ持っていないので、小田急ロマンスカーSSE車、NSE車、西武初代レッドアローなどの古い写真はダメモトで写真をデジカメにそのまま撮ったものです。けっこううまくいくようです(笑)。また、写真取材出来なかったものもあるのが残念です。

ただ、ボクはなるべく現地取材をして、写真もオリジナルだけを使っています。そして可能な限りその路線に乗って雰囲気だけでも掴まないと「利用者としての立場」から書くことが出来ないと思っています。使う側の立場や鉄道サービスを提供している立場を理解しないと、謎やエピソードなどの話や、ちょっとしたコメントなど、書けるものではないと思います。

「鉄」というのは利用者の一部か、中にはそうではない人もいます。「鉄」は所詮アマチュア。「だったらいいなあ」という思いだけで意見を言うべきではありません。鉄道会社はプロなのです。また利用者抜きに語ることも出来ません。そのような思いだけで何億、何兆もの金をどうやって動かすのでしょう。「鉄」の立場はあくまでもそれを趣味として捉えるべきです。立場をわきまえず経営論にまで発展しかねない一部の「鉄」には疑問を感じるのですが…。


さてトップページでの予告どおり、番外編へまいります。今度は関東ではないのですが、中京から名鉄の話を取り上げてみました。お乗り換えの方は、お忘れ物がないよう願います(笑)。

【予告】北アルプスの謎

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