関西私鉄ストーリー

本日も御乗車、ありがとうございます。

このページでは地下鉄銀座線ストーリーに引き続き、私鉄王国関西のことを紹介致します。

 

 ●線路は続くよどこまでも

映画「小さな恋のメロディー」のエンディングで二人が手押しトロッコを漕いでいくシーンはあまりにも有名である。そのころまだ幼かったボクは「いいなぁ〜。一度でいいからやってみたいなぁ〜。」と思ったものである。

さてレールというものはどこまでつながっているのだろうか。たしかに全国チェーンのJRとか、JRと直通運転などを行っている私鉄、また地下鉄を介して直通運転をしている例もある。しかし本来直通していないはずの、全く別の都市の地下鉄がホントは思わぬルートでつながっていて、さらにはるか彼方まで続いているという珍しい例がある。それは…。

大阪の地下鉄(中央線・千日前線・谷町線)は
京都の地下鉄と実はつながっていて、
さらに東は名古屋、西は姫路まで延びているという事実!

大阪メトロでは阪急京都線直通の堺筋線以外はレール幅1,435mm、直流750Vサードレール集電で同じ規格だ。電車の検査などを同じ工場で行うため千日前線と中央線は阿波座に、谷町線と中央線は谷町四丁目にそれぞれ連絡線が存在している。

さて中央線は近鉄けいはんな線に直通していて、奈良県へ顔を出している。直通運転が実現して、はじめて生駒駅で地下鉄の電車を見たときはその違和感にワクワクしたものだった
近鉄側の電車の車庫は、けいはんな線にはなく終点の先の奈良線東生駒にあるが、大掛かりな検査(クルマで言う車検)はここでは行わず、ここからかなり先の大阪線の五位堂で行うため、近鉄けいはんな線は連絡線を介して近鉄奈良線とつながっている。

しかし近鉄けいはんな線は地下鉄中央線直通のため、それに合わせた直流750Vサードレール式の専用車だ。一方大半の近鉄線は一般的な直流1,500V架空線式で、そのまま電車を運転しての直通は不可能な訳である。そのため近鉄東大阪線の電車が車検の時には、前後をガードされて事業用電車が五位堂まで連れて行く。

…ということは、それら大阪の地下鉄と近鉄線(南大阪線等の一部レール幅の狭い路線以外の)はレールで繋がっていることになる。一方近鉄京都線は京都の地下鉄烏丸線に直通しているから、近鉄線とレールがつながっているのは明らか。…と言う事は、近鉄奈良線/京都線を通して大阪の地下鉄と京都の地下鉄はつながっていることになる!

さらに近鉄は近畿・中京に大きなネットワークを持つが、レールが直接繋がっている大阪線、奈良線、京都線、橿原線、名古屋線、志摩線等のレール幅と電化方式、寸法規格が同じ線区は相互に連絡している。実際に特急が各線を直通して走っているではないか。

更には阪神なんば線の開業で近鉄奈良線との直通運転が行われた結果、山陽電鉄の姫路までもがレールで繋がった。こちらも臨時列車限定ではあるものの近鉄特急が阪神三宮まで走るようになった。

だから、あの映画のトロッコをつくって、千日前線もしくは谷町線の、どの駅からでも連絡線経由で中央線に入ってしまえば、そのまま近鉄けいはんな線に入りせっせと漕いで生駒山を越え、東生駒の車庫にある連絡線で奈良線に入れてしまう。西大寺で北へ向かえば京都、西へ向かえば大阪難波を経由して神戸三宮どころか山陽電鉄姫路まで。真っ直ぐ進めば奈良、南へ向かえば八木。そのまま橿原神宮参拝を済ませて八木から大阪線に入り、青山峠を漕ぎまくって中川へ出て、右へ行けば伊勢志摩。海の幸を堪能して伊勢神宮を参拝したら今度は名古屋。寄り道で湯の山温泉1泊もよし。トロッコをどこまで漕ぐかはアナタ次第!

近鉄奈良線と言えば、生駒山を越えるのに瓢箪山から石切まで急坂を登り降りしている。創業当初から小さな電車を走らせていたが、戦後電車が老朽化したのに気づかず、大阪行き電車が旧生駒トンネルを出て坂を降り始めた途端、ブレーキが故障し電車は暴走を始め、麓まで降りたところで先行していた電車に激突、大事故になったという。
 
別の映画「交渉人 真下正義」では不気味な電車が東京メトロ各線を勝手に走り回って関係者を困らせたが、貴方の漕ぐトロッコだけは、暴走しないよう頑張って漕いで頂きたい(笑)。


でもJR線を通じて意外なところで線路がつながっている地下鉄同士というのはあるんです。
JR中央線、総武線、常磐線と東京メトロ東西線・千代田線は直通しています。それなら全国に営団線はつながっている事になるわけで、九州に目を転じるとJR筑肥線と福岡市空港線、箱崎線は直通運転してるから、営団東西線・千代田線の電車がJR東海道線、山陽線、鹿児島線などを長躯九州入りして福岡の地下鉄を走るというのも不可能ではない訳です。それ以上につながりもあって、考えるときりがなくなってきたので、この辺で関西私鉄ストーリー、お開きにさせていただきます。

【参考文献】

大阪の地下鉄-創業期から現在までの全車両・全路線を詳細解説- 産調出版(株)

どうもありがとうございました。

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