旅日記Vol.51 春の陽射しをいっぱいに浴びて  2008.2.21 東京  3.12 大阪

そろそろ『レイル・ストーリー14』の取材をしなければと思っていたが、同時にスギ花粉という厄介なものが世間に舞い降りる。花粉症暦●●年というボクにとっては全く憂鬱な季節である。
というコトは、花粉の飛散が本格化する直前に取材をすれは良いという話になる。まずは東京地区の取材から進めるとして、勤務スケジュールとスポクラのスケジュールの両方をにらめっこしたところ、よしっ!この日しかないっ!と決めたのは前日の深夜だった(笑)。早速エアラインのサイトをチェック、時間帯から今回はJAL便での往復と決定。

結局朝イチバン8:00小松発のJL1270便で東京へ向かい、夕方17:25分発のJL1281便で帰ることに。これなら小松に18:30着だから、そのままスカイシップへ向かってMイントラのステップのクラスにギリギリ間に合いそう。日帰りとはいえせっかくの旅なので往復共にクラスJで予約&チェックイン完了。QuiC導入でJALもANA同様事前チェックインが可能になったのはありがたい。空港に着いたらセキュリティゲートへ直行すればオッケイ。
この時期の旅は天候が気になるが、ついでにチェックした当日の金沢は曇り、積雪もなくフライトには全く影響はなさそうだ。デジカメの充電ヨシ、メモ帳ヨシ、取材箇所の地図ヨシ、スポクラの用意ヨシ…でも最後まで気になったのが、前回うっかり普段履きのスニーカーで出かけてしまったコトだ。ブーツの用意ヨシ、ipodヨシ、文庫本ヨシ…。確認に確認を重ねて就寝。

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 ★まずは東京へ

朝起きるとやっぱり曇り空。少し肌寒いが、向こうは暖かそうなのでそれに期待しよう。朝の山側環状〜加賀産はどうにものろくて困る。ようやくペースを掴んで小松市内に入ると、ヤバイっ!今日も時間ギリギリ!空港の駐車場でFitくんを駐めるのももどかしくセキュリティゲートへダーッシュ!搭乗ゲートの列はアナウンスと同時に機内へと吸い込まれていく。ボクもその列に加わり、指定した席につく。使用機はB767-346。
クラスJは機内前方にあるが、B767ではボーディングブリッジを1本しか使わないので、席に向かう乗客の多くと顔を合わせることになる。この日もスカイシップのメンバーさんと遭遇。「おはようございまーす」。CAのアナウンスに続いて珍しく機長の丁寧なアナウンス。

出発の準備が整い、定刻の少し前にプッシュバック開始。ノーズを金沢に向け、R/W24からの離陸だ。寒い中地上スタッフが手を振ってくれている。ボクもちょっとだけ手を振り返して、さあつかの間の旅へ。

機はR/Wのセンター表示のやや手前でリフトオフ。少しずつ変針しながら巡航高度を目指して上昇を続ける。左手に白山が見えてきた。結局暖冬だった今年だが、やっぱり雪はやや少なく感じられる。しばらくしてベルト着用サイン消灯。カチャカチャカチャ…。まだ居るんだね〜ここでベルト外す人。

白山が見えました 駿河湾の向こうに富士山
白山を望んで 駿河湾の向こうには富士山

山々を覆っていた雪がすーっと少なくなり、中央・南アルプスが眺められる頃にはドリンクサービスが始まった。朝なのでコーヒーをチョイス。そろそろ富士山が見えてきた。眼下はちょうど駿河湾の上空に差し掛かり、晴天も手伝って快適なフライトだ。
やがて伊豆半島をヒットした辺りでエンジン推力が絞られ、早くも羽田に向けディセンド。まるで富士山を中心に三浦半島を追い越して房総半島へと回り込むカンジだ。まだ芝の黄色いゴルフ場をいくつも見て、木更津から羽田空港R/W34Lへとアプローチしていく。東京湾には白い波が立っていて、まだ冬の風が吹いているのかなと思う。そしてタッチダウン。

 ★さあ、取材取材

まずは京急で川崎方面へ向かう。近く使えなくなるパスネットを使い切り、あとはSuicaで移動した。ICカードの相互利用が出来るようになったのも実に便利だ。都営線直通の急行から京急蒲田で乗り換えて、京急鶴見で降りる。早春の暖かな陽射しが実に柔らかい。駅に戻り一旦京急川崎に戻って今度は大師線を産業道路まで乗る。平日とはいえ川崎大師の参拝客は多く、その川崎大師駅では殆どの乗客が下車。
テクテクと取材を済ませて、京急川崎に戻って快特で横浜へ。京急の快特は120km/hで走るのでストレス解消にもってこい!(笑)。その関西私鉄っぽい走りは在京の他の私鉄では決して味わえないもので、電車を降りるとそこが大阪か?と感じる位。いつも。

横浜で東急/みなとみらい線に乗り換え日本大通りで降りて横浜港方面へ。青い空に青い海。ホント春を思わせる陽気。それに異国情緒。港って、なんかいいなあ〜来てみて良かった〜…えっ?鉄な取材じゃないの?いえ、ちゃんと取材だよ(笑)。

横浜だ 横浜港のシンボル ベイブリッジ 赤レンガ倉庫
横浜だ〜 横浜港のシンボル ベイブリッジ 赤レンガ倉庫

ここで川崎・横浜方面の取材が終わり、東京都内へと移動。一応中華街を通ってはみたものの、時間が惜しいのでホントに通っただけ(笑)。JRの関内駅へと急ぎ根岸線の電車を待っていたら貨物列車1本をスルーして、やってきたのは新車のE233系電車だった。
デビュー当時、たまたまほぼ同時に売り出されたインスタントカメラをもじって「走るンです」と揶揄された、JRの209系電車が京浜東北線に走り出して10年余り、耐用年数を短くした設計だったが、ここに来てホントに引退が始まった。それに比べ我らがJR西日本管内では、大阪近郊でさえ中央線からほぼ姿を消した201系でも新しい部類、北陸線に至っては特急もなお国鉄時代の485系が『雷鳥』で走ってるし、普通列車など車齢40年の電車が当たり前。サイクルの早さに今一度驚く次第。

横浜で東海道線に乗り換えて、今度は新橋へ。なんとなく築地へと歩いてこれで取材終了。地下鉄日比谷線で仲御徒町へと向かったのは、届いていたDMを持って「ジュエン」へ行くため。でもこの時期、この駅へ来るとオウム事件を思い出してしまう。しかもその日はストーンズの東京公演から帰った翌日だった。泊まっていたホテルの関係でよく使ったのは地下鉄赤坂見附駅だったが、そこでも事件が起こってしまいニュースに釘付けになりながら血の気が引いたのを思い出す。そのニュースの空撮映像がズバリこの築地駅だった。多くの被害者が近くの聖路加病院などへ次々搬送されていったが、まだその記憶が消え去らない。

 ★ちょっとエアロな買物も

「ジュエン」のDMとは全品20%オフセールというものだった。何かいいものがあるかなと店に行ったが、これといった目ぼしいものもなく早々に退散、JR御徒町駅近くのスタバで遅いお昼を取り、新宿へ移動。中央線の主だったオレンジ色の201系の姿は、もう殆ど見られなくなっていた。

あまり時間もなくなってきたので、サッとオッシュマンズを流してみる。結局CDを2枚と激安だったタンクトップ1枚を購入しておしまい。BEAMSなども寄りたかったがそろそろ帰らないと。山手線で品川へ出て京急に乗り換え。ちょうど羽田空港行き急行が出たところだったが、次の三崎口行き快特に乗れば途中でその急行を追い抜くので、京急蒲田で追いつくというワケ。しかも快特が都営線からの直通ではなく品川始発の線内快特だとクロスシートの2100系の可能性が高く、しかも運が良ければ座れるというオマケまでつく裏技なのだ。
この日は運良く座れたし、ほんの少しの間だったけど2100系の快適な走りと、ドレミファサウンド(笑)も感じることが出来た。「金沢に帰る」という雰囲気からちょっとだけ逃れて…。乗り換えた羽田空港行きは都営車だった。

羽田空港に戻ったのは小松行きJL1281便の出発40分ほど前だった。少しは余裕だったがおみやげなど買ううちに時間に。セキュリティを通って出発ゲートへ向かうと少しおいてボーディング開始。今度はB777-246だが、サイトで確認したところクラスJのシートは本来のシートではない模様。もしかして国際線仕様で実はビジネスクラスなのかな…と淡い期待を抱いてみたが、シートは同じだった。でも朝のB767には個人用TVはなかったなあ。
ただし…この帰りの便で、隣に座っていたのがまるでタバコの燻製のようなオッサン。しかも体臭も漂い、両方が混じった悪臭に1時間あまり耐えることを強いられた。こんな人って自分じゃ気づいていないんだろな。せっかくのクラスJなのに…(泣)。全席禁煙じゃなかったら、こっちまで燻製になるトコだった。

 ★トワイライトなフライト

少しずつ夜の帳が近づいた羽田空港R/W16Lから離陸。来た時とは風向きが逆になったようだ。米軍から空域の返還が続いて、すっかり出発方式が変わってしまった。昼に居た横浜が右手に見える。遠くに東京の夜景。さっきまでその地に自分の足が着いていたのに…と、いつも思ってしまう。

この時間の便は暮れていく景色の変化が実に幻想的。その早さは季節によって違う気がする。

外の明かりがめっきり疎らになった頃ドリンクサービス開始。今度はスープをチョイス。短いレベル飛行のため、飲んでいるうちにディセンドが始まった。もう空からの夜景も覚えてしまった金沢が判るころにはそろそろ小松空港へのアプローチ。左旋回してこちらも風が変わったかR/W06へILSで進入するようだ。やがてスクリーンと個人用TVの画像が前方に切り替えられ、灯火が見えてきた。軽く舵を当てながらのファイナル、そしてランディング。機は静かにスポットインし、マーシャラーのパドリングがチョーク挿入を指した。ドアが開き降機。

さてここからは愛車Fitくんへダッシュ!一刻も早くスカイシップへと走り、レッスンに間に合えばラッキー、ダメでもせめておフロだけ…と願いを込めて来た道を戻ることに。幸い朝ほどのろいクルマは少なく。所要40分弱で到着。ここからはいつもどおりにスタジオへ向かい、いつもどおりに帰宅。ただ今日も慌しい旅だった…。

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今度は大阪地区の取材。はや3月に入り、スギ花粉がいよいよ本格化の気配が見えてきた。急いで取材に行くしかないと決めたのは3日前のことだった。いつもと同様に行きは『サンダーバード』か『雷鳥』の自由席、帰りは『サンダーバード』のグリーン車としたが、先般『雷鳥』の485系が数年後に引退するというアナウンスがあり、そろそろ乗り納めか…国鉄型の485系の走りを堪能するのも良しと、あまり時間にはこだわらないことに決めた。帰りの分はネットで予約を入れ、遅れなければスカイシップでNnイントラの中級クラスに間に合うはず。ただ当日朝になって慌てたくないので、前日の夕方に買物ついでに金沢駅へ行き発券を済ませておいた。

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 ★今度は大阪だ ところが…

当日は晴れ。これなら取材もはかどりそうだし、ちょっとはエアロな買物も出来るかなという期待が膨らむ。寝坊することなく目覚めて支度を済ませ金沢駅まではFitくんで。いつもの時計駐車場に駐め、これもいつものHeart-Inで朝ゴハンを調達、ホームへ向かう。
先発『サンダーバード6号』は出たあとで、やっぱり『雷鳥8号』自由席に(笑)。すでに電車は入線していて、予想通り自由席はガラガラ。古さは隠せないが丁寧に手入れがされている。あと少し、何事もなく北陸路を駆けて欲しいという願うばかりだ。定刻に金沢駅を出発した。

春の朝陽を受け電車は快走を続ける。なかなか快適。ところが福井県内に入ると時折霧が立ち込めて電車はその都度スローダウン、少しずづ遅れを出してしまう。この時期の朝霧は晴天の証拠ではあるが…。福井を2分遅れで発車したものの、なおも霧に悩まされスローダウンの連続。まだ雪の残る今庄を過ぎ、北陸トンネルを抜け敦賀を発車したら遅れは7分に拡大、湖西線に入るもまた霧…。

今庄付近の残雪
車窓にはまだ残雪が

近江今津あたりからようやくスッキリ晴れてきた。遅れを取り戻そうと電車は俄然力走するが蓬莱辺りで先行する普通電車に道をふさがれ、とうとう京都までスローダウンしたままだった。結局京都には20分の遅れで到着。ここで1件取材のため電車を降りる。

 ★こっちはサクサク取材

もっとも京都では取材まで少し時間があったのが逆に縮まり、ホームで待ちぼうけすることもなく災い転じて福となす、といったところだろうか(笑)。続いて大阪へ移動のため新快速に乗ろうとしたら、金沢を約1時間遅く出た後続の『サンダーバード10号』が定刻で到着!悠々と終点大阪に向け発車していった。どうやら途中の霧は晴れたのだろうか。ちょっと悔しいが485系に20分余計に乗れたんだから良しとしよう。

文庫本片手にipod聴きながらの移動はおよそ「鉄」とは言えないスタイルかも。でも「鉄ヲタ」よりは…。

大阪で阪急に乗り換え。宝塚線で2箇所の取材。今回は取材箇所が少ないので時間的にはラクだとタカをくくっていたが、ここでスカイシップのメンバーさんから携帯にメール。もっとも「大阪へ行ってくるかも」と伝えてあったので、京橋のLA BODYでアニールーチェのパンツがあったらよろしくね…という話。もともとボクも後で行く予定だったので、その旨伝えてサクサクと取材を済ませてともかく梅田に戻った。遅めのお昼をいつもの焼売太楼でハーフ麺セットとあんかけ揚焼売。んまいっ!

 ★あとはお買物っ

続いては旭屋書店で「鉄」な本を。金沢ではこれほどの品揃えがある書店はなく、こんな機会を逃す手はない。『レイル・ストーリー』シリーズを書く資料もいっぱい。数冊購入していよいよ京橋へ移動。大阪環状線に限らずJR西日本ではJR東日本などではとっくに引退した103系電車がまだまだ幅を利かせている。でも『雷鳥』の485系同様、どこか安心感のある頑丈なつくりで、ちょっと重いモーター音が懐かしい。
LA BODYは京阪ショッピングモールの横、そう大きくないビルの2階でちょっと判り辛いが、スタジオで大人気のアニールーチェやUFOパンツを取り扱う店なので、関西に縁のあるメンバーさんなどによく場所を聞かれる。
もっともアニールーチェはネットでも購入可能だが、人気ゆえに発売開始直後に完売となってしまう。でも、もしかして店頭発売分があれば…と望みをかけてみた。店にはやっぱり同じように来訪したお客さん数名がいて「これ、センセが穿いてたやつと同じや〜」「こっちもええのんと違う?」。ちょっとウルサイ。
一部人気色のものは完売だったが、在庫はまだあってボクの分と頼まれたメンバーさんの分を無事ゲット!ふぅ〜。

再び大阪環状線で福島へ移動。今度はJR京都線・神戸線から転身した201系電車。JR東日本の中央線では引退して久しいが、ここ大阪環状線では新しい電車だ。もっとも移籍に際してはリニューアルが行われ、中央線の電車と同じとはちょっと判らないかもしれない。福島ではフィットネスウエアショップZEN改めiwataでG-Fitのタンクトップ1枚を購入。大阪駅まではそう遠くないので西梅田界隈を散策がてら歩き。再開発ですっかり都会的ながら落ち着いた雰囲気になり、このランドスケープデザインは秀逸だといつも思う。時折伊丹空港へ向かう空港バスが、そこが東京ではなく大阪なんだと実感させてくれる。

だいぶ春めいたとはいえ少し陽が傾き、そろそろ大阪を後にしなければならない。最近オープンしたうめだ阪急メンズ館(元のナビオ)をチラッと覗いてみたり。

西梅田界隈 サンダーバード35号
洗練されたデザインの西梅田界隈 『サンダーバード35号』は681系

金沢に戻ってからそのままスカイシップへ直行してレッスンの予定だったので、それなら帰りの車中でお弁当でも食べようと、ホワイティうめだにある「豚晴」でヒレカツ弁当を買い、JR大阪駅へ。
只今絶賛リニューアル中の大阪駅では、ホームを1本減らすためかなり大掛かりな工事が行われている。北陸線特急の定番だった11番のりばは今はなく、10番のりばをラッシュ時のJR京都線新快速と共用中。しかも京阪電車みたいにホームの前後で列車を使い分けていて、新快速は京都寄り、北陸線特急は神戸寄り。おまけにボクの乗るグリーン車の1号車は一番神戸寄りなので、御堂筋口から入場したばっかりに駅の東の端から西の端まで歩くはめに(笑)。急いでいたらちょっと戸惑うかも。この日は余裕を持ってセーフだったけど。

 ★帰途に

『サンダーバード35号』は定刻に大阪駅を発車、新大阪を出て詳しい車内アナウンスが入る頃には隣を行く普通電車や快速電車をビュンビュン抜き去り、快適な高速走行になる。早速旭屋書店で買ってきた鉄な本を読んでいるうち京都に。鴨川を渡り山科で湖西線に入るとどうも安心するのか、いつも眠くなってしまう。ちょっとウトウト…。

目覚めると電車は湖北路を走っていた。そろそろおナカも空いたのでお弁当を広げる。1人用シートのC席だと隣に遠慮しなくていいのは気がラクだね。敦賀を通過、北陸トンネルを抜ける頃にはもう車窓は夜になっていた。福井に停まったら次は金沢だが、『サンダーバード』でもノンストップタイプだと車内が静かで快適さアップ。
見慣れた夜景が近づいてきたのに電車はいつになったらスローダウンするのかな…と思える位、『サンダーバード35号』は快走を続けて高架の金沢駅には滑り込むように到着。快適だがあっけない2時間半だった。

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時計駐車場でFitくんに乗り換え(笑)、スカイシップへ直行!すかさずシャワーで旅の疲れを落としてスタジオへ。その日は東京や大阪に居たはずなのに、夜には金沢に戻ってスポクラでエアロ。こんな非現実的な現実が、なんかイイ。

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