「旅日記」Vol.26
おわら風の盆は… 2001.9.1


 ★またもや1通のメールから…

6月のことだった。1通のメールの終わりに、こう添えられていた。「一応9月には風の盆を見に富山へ行くつもりなんだけどね」。

まあだいぶ先のコトだからなあ…と思っていたが、梅雨も明け、猛暑の真夏がやってきて、気がつくとおわら風の盆はすぐそこに近づいていた。
「越中おわら風の盆」は隣の富山県八尾で毎年9月1日から3日にかけて行われる。富山の山あいの町が、年に一度だけ華やかな場になる。最近はけっこう全国的に知られる存在。

実はここ数年来風の盆は見に行かなかったのだけど、今年は土日に重なっていたのと、メールの送り主であるたぴちんが来るというコトで八尾行きを決めてしまった。

なぜ最近は風の盆に行かなかったというと、あまりにも有名になって観光客が大挙して押しかけてしまい、踊りどころではなくなってしまったというのが理由。本来は各町内会の踊りの列が、ゆったりと町を流す…という風情あふれるもので、世間一般の運動場でやるようなスピーカーから流れる盆踊り大会と一緒には語れない。
町流しの列は若い男衆・女衆の情感あふれる踊りと、謡い手(地声だけ)の「越中おわら節」は四季を織り交ぜたオリジナルだったり、哀愁ただよう胡弓の音色…これは一度体験したらその魅力にとりつかれるはず。

ところが最近はそれこそ押すな押すな状態で、風の盆がどういうものか理解出来ていない観光客でごったがえしているというらしい。確かに年々増えてきたのは判っていて、それがここ数年来八尾へ行かなかった理由なのだ。

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 ★さあ八尾へ行くぞ!

さて、その八尾へはどうやって行こうかなというのが思案のしどころ。まだおわら風の盆が有名になる前は井田川の河原の臨時駐車場がスンナリ利用出来たけど、今はよっぽど早く行かないとそんなワケにはいかない。そこで手にしたのが「鉄道ダイヤ情報」(笑)。読んでみると高山線富山-八尾間にはかなり多くの臨時列車が運転されるのが判った。これなら渋滞とか駐車場探しなんてつらい思いをしなくてもよさそう。しかもいつもと違う車両を使うので、それに乗れるという楽しみも…(爆)。

町流しは夜遅くに始まる。だったらそう慌てて行く必要もないと思い、いつもの土曜日と同じく夕方のエアロ2本を受けてから八尾行きと決定。

そろそろリーヴへ行かなきゃ…と思った頃、ちょうどたぴちんからメール。「無事富山入りして今から駐車場探し」とのコト。先に金沢駅に寄って八尾までの往復キップを購入。リーヴへ移動して筋コンクラスとローインパクトクラスの2本。でもいつもならその後筋トレなんだけど、この日はサッと身支度して再び金沢駅へ。

まずは20:20発の魚津行きサンダーバード39号の自由席でたった35分の特急の旅。金沢から石動までの区間は現在北陸新幹線の工事たけなわだけど、特急で10分程度の区間に新幹線なんて必要なのかなあ…。くつろぐ間もなく富山着。ここで高山線に乗り換え。
どうやら風の盆のためあちこちから予備の車両が応援に駆けつけたという。情報によれば、このあと接続の高山線臨時は21:07発、でもその1本前に出発するはずの臨時がまだ駅に…。どうやら高山線のダイヤが乱れていたようだ。その臨時はしばらくして富山を出発していったが、ボクが乗る列車の遅れは約20分に…。
しかも使う車両が変更になっていて、金沢から応援の急行『能登路』用だった。ちょっとガックシだったが目的は「おわら風の盆」じゃないか!!

高山線は臨時列車で大賑わい。全線が単線なので八尾までの各駅で対向列車と行き違いがあって、京都から応援の元・急行『丹後』用、同じく京都から特急『はまかぜ』用(ホントはコレに乗るはずだった)、JR東海の美濃太田から応援など…。「鉄」にはなかなか興味深くってねえ(爆)。

結局22時まえに八尾に到着。先に着いているはずのたぴちんとうまく合流出来るかなあ。電話してみると井田川の河原で呑んで(笑)いるという。とにかくだいだいこの辺にいるはず…と歩いていたら、正面から来たのは…たぴちんじゃないか!!いやー5月ぶりー。

 ★おわら風の盆は…

いつも東京で逢っていたので、こんな場所でなんて信じられないな…という違和感。実は今回はたぴちんが独りで来たのではなく、静岡で友人のFさんとYくんの2人とおち合って、そこから遠路はるばるクルマで八尾入りしたというから驚きだ。うひゃ〜ごくろうさま。

夜も更けて、そろそろ町流しが始まる頃。八尾の中心部へと歩き出す。

ところが、どうも今までの風の盆とは様子が違う。町流しが行われている雰囲気ではない。通りが人で埋め尽されていて、町のあちこちから胡弓の音色は聞こえてくるものの、ゆったりと流しているようではない…、しかもその集団はよく見ると八尾の人とは半被も浴衣も違う…

どうやら本場八尾でおわらを踊ろうとやって来た他所の集団のようだ。しかも本物のおわらを知らない観光客が、これを本物と思い込みカメラを手に包囲しているのだ…。う〜ん、これではおわら風の盆ではない。「本物」はその頃各町内の公民館で一休みというか、あまりの人出に町流しが出来ずにいたのかも。本当のおわらを知っている静岡からやって来たYくんも残念そうだった…。

その後ようやく東新町で本物のおわらを見ることが出来たが、町流しのために通りを空けることを知らない観光客が踊り手を取り囲んでしまい、結局数分間だけで終わってしまった。

あっという間に時間だけが過ぎてしまい、そろそろ金沢への臨時最終に乗るため駅に向かわなくては。その道すがら諏訪町では町流しがようやく始まった様子。

たぴちん御一行様にはそのままおわらを堪能してもらうことにし、我々は八尾駅へダーッシュ!!また逢おうねーー!!楽しかったよーー!!

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 ★金沢へ戻る

日頃から鍛えた成果で、八尾駅までの数キロの道のりは下り坂ということも手伝って10分位だった。この日の高山線臨時列車の最終は金沢まで直通。これはありがたい。情報によると特急『はまかぜ』用(去年『白馬アルプス』で乗ったやつ)だったが、ホームで車掌さんに「181?」と聞いたら「いえ28・58です」と言われてまたガックシ(すみません専門用語で・笑)。なーんだ。来た時と同じ急行『能登路』用かあ…。落胆するボクの後姿を見て、その車掌さんは苦笑していたらしい…。

富山まで高山線を走り、方向を変え北陸線を金沢へ。富山駅では深夜にもかかわらず、急行『能登路』用という富山では珍しい車両にビデオを向けているおじさん「鉄」が…。
北陸線内は一部駅通過の快速運転。疲れが出てしまって、2人ともいつしかウトウト…。ふと気がつくと終点金沢のちょっと前だった。結局最後までダイヤの遅れは残って、午前3時前に到着。

…翌日はまたウダウダと。やっぱり歳は隠せないなあ(笑)。夕方懲りずにエアロの中上級クラスのためリーヴに向かおうとしたら、たぴちんから「無事帰ったよー」のメールが。
あのまま夜を明かして、それでもちゃんと帰ったなんて。でも安心した。こんな時携帯メールって便利だな。

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おわら風の盆があんなに姿になってしまったのは残念だけど、何時の日か本来の「風の盆」に戻ったら、また訪れてみたいなあ…。

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