Layer:02 GIRLS


●第2話です。サブタイトルの通り、玲音と彼女を取り巻くありす、麗華、樹莉の3人がメインとなっている話です。

●変わらずイントロは電線と街の喧騒です。「何を怖がっているの? ちょっと試して見るだけでいいのに。うふふふ・・・」というセリフは玲音に対して言っているのでしょうか、それともサイベリアで出てくる男やそれらの「アクセラ」に興味を持っている人々に対してなのでしょうか。

●サイベリアのシーンです。「サイベリア? 別に来たくて来てるんじゃないよ―」とのテキストが浮かび上がります。テキストのバックは色彩がマーブル状になっています。このテキスト表示はモノローグに使われていますが、

 A.ただの不特定な表層思考の描写である。

 B.ワイヤードに流れ出したセリフである。

●帽子を被った若い男が、ガスマスクを被ったウェイトレスから紙包みを受け取っていますが、紙包みの左に「V」のような印が付いているのです。この印は何なのでしょう。

 紙包みの中身はアクセラです。ウェイトレスに丸めた一万円札を渡しますが、その直後にマーブルの背景に「一万? そりゃ高い! 相場は四千円ってとこだよ」とテキストが表示されます。また、「アクセラ―オレらはそう呼んでる」「仕入れは同じようなもんだけど――」「あれは正確にはドラッグじゃないよ―」と続きます。

●男は包みを開けると中にあるグミ状のカプセルを切り裂いて中身を直接飲みますが、即効性を求めたのでしょうか。色々な設定書などに「グミ状」とありますがそのまま飲んで効果があるようなことは書いていなかったので、こうしないと効き始めないのかもしれません。

●飲むとすぐに効果が現れたようです。「僕は――加速したのを感じた」とのテキスト通り、アクセラは脳内にある種のホルモンを分泌させ、加速状態を作り出すそうです。彼の視界はスローモーションになり、踊る人々の間にありす達3人を捉えながらその上を通り過ぎ、ここで「もう一人の玲音」を見ます。

 この玲音は「ワイヤードの玲音」のようにきつい物言いをしているようです。この玲音は一体何者でしょうか。第9話でタロウが玲音に尋問されたときに言ったのはサイベリアに流されてくるデータに「そういうエフェクト」がかかっているということでした。つまりサイベリアにいた場合、「記憶の操作」が行われるエフェクトに影響されるということです。

 その結果、玲音を見たという記憶が挿入されることになるわけですが、「アクセラ」を飲んでいる男はともかくとして、ありす達も玲音を見たといっているのが不思議です。また、仮にありす達もアクセラを飲んでいたとしても、サイベリアにいた全員が、しかもDJであるJJもふくめてアクセラを飲んでいるというのは少し無理があるような気がします。

 あと考えられるのは、

 A.別にサイベリアにいた人物全員が玲音を見たという証言は出ていない。ありす達はアクセラを飲んでいて、JJはデータアクセス用のデバイスを埋め込んでいたためにエフェクトにかかった。

 B.サイベリア全体が一種のヴァーチャルワールドであり、ここにいる以上、「繋がっている」状態になる(といっても完全なヴァーチャルではなく、雰囲気作りのための効果として用いており、アクセラを飲まなくとも何らかの影響が出るようなデバイスを身につけさせられている)。

 といったところでしょうか。

●さて、またテキストで今度は「早くこっちへおいでよ―」という文が表示されます。

●電線のアップに続いて玲音がNAVIと対話しているシーンとなります。この時NAVIに映っている文字は私の見る限り文字化けした日本語のように見えるのですがどういうわけなのでしょう。

●美香お姉ちゃんがやってきて「なぁーんだ、誰かきてんのかと思った」と言います。玲音が「誰かって?」と聞くと、「玲音の空想の、オ・ト・モ・ダ・チ・・・とかね」と、答えます。ここから玲音が以前からワイヤードから聞こえる声のことを家族に話していたことが解ります。少なくとも「美香がうんざりする」程は言ったのでしょう。もっとも美香の性格からすると、そう何度も言わなくともうんざりしたかもしれませんが。

 ちなみにこの時点、朝なのですが、ドアを閉めた美香がドア越しに「また、ちこくするよー」と声をかけてきたところを見ると、美香は思いのほか玲音をきちんと妹として扱っているような気がします。

●岩倉家玄関より登校風景。ここでも影には「斑点」が存在しています。道の途中にカールがいます。この時彼は目に例のゴーグルを付けていません。このシーンとすぐ後のありす達と出会うシーンとははっきりとした区切りがありません。・・・やはり斑点はワイヤードの証なのでしょうか?

●学校付近でありす達と出会う。ここでやはり斑点がなくなっています。ありす達は玲音そっくりなもう一人と出会ったことを玲音に告げ、サイベリアへと誘います。玲音はあまり乗り気ではありません。シナリオでは「うん、行く行く」と言っているのですが、監督の意向でこうなったそうです。

●授業中。アクセラの説明が入ります。説明がフェードアウトしていった後、玲音の耳がアップになっており、授業でこんな内容をやるはずもないので、これは玲音の耳や目にとどいたワイヤード内の情報だと思われます。

●玲音の携帯NAVIにありすからのメールが届いた時、玲音は妙にびくついた表情を見せました。千砂からのメールかもと思ったのかもしれません。

●また、テキストで「人はみんなつながつている―」と入ります。

●校内を一人出歩く玲音。得体の知れない人影が多数現れ、玲音は顔を隠し立ちすくみます。これもワイヤード上からの侵食でしょう。

●帰り道。自分の家を見ると、「仲山急便」の軽トラックが止まっています。ロングショットのこのカットはまだ影に「斑点」があるようです。配送屋の若者が現れているシーンでも斑点が現れています。しかし、玄関などでは斑点はありません。

補足:このシーンで、配送屋が来ている以上岩倉家はリアルなものでなければならないはず、という見方もありますが、NAVIの発達したこの時代、配送屋のようなミッションクリティカルな職業人が何らかのデバイスを装備していないとはいえないので、やはり、岩倉家がヴァーチャルである可能性は無くなりません。

●玲音の部屋。いつもの通りクマパジャマを着た玲音がベッドで壁にもたれかかっています。その後階段を降りていくと、両親がキスをしている場面に出くわします。玲音はそれを見ても表情を動かしません。慣れているかのようです。この両親が橘総研の関係者だと言うことは後の話の時に書きますが、少なくとも母は康雄との夫婦関係を積極的に使っているようです。母は玲音が現れたのを知るとそそくさと去っていってしまいます。どうやら玲音には見られたくないようです。

●康雄をせかしてすぐにセットアップしてもらうことになった玲音ですが、この時の康雄の目は娘を見る目ではありません。すぐにメガネの光の反射で目は隠れてしまいますが、実験を見守る科学者のような目です。ここからも康雄がただの父親ではなく、玲音を何かの実験対象のようなものとして見ているのが解ります。

●岩倉家の夜の外観が浮かび上がりますが、ここには斑点はありません。やはり玲音の心理が働いていないところには現れないのでしょうか。

●新型のNAVIをセットし終えて、康雄は玲音に「ユーザー登録をしなさい」と言います。玲音がこのときクマパジャマのフードを取ります。

●康雄が玲音の部屋から出ようとすると、ドアの影には美香がいます。ちょっと険のある目つきで部屋の中を覗いていた様なのですが、

 A.すでにこの時点で美香は何者かの間者であり、そのために覗いていた。

 B.玲音を一応彼女なりに心配して、康雄が何か玲音のおかしさに拍車をかけるのではと覗いていた。

●小さな音で携帯NAVIが鳴り、ありすからのメールが届きます。サイベリアへのお誘いです。玲音は困ったように眉をひそめ、それから新型のNAVIを見比べます。そしてテキストで「どうして早く来ないの?」の画面に続くのですが、この文はありす達なのでしょうか、それとも千砂なのでしょうか。

●結局サイベリアへ来てしまう玲音です。夜の街に似つかわしくない子供っぽい服装です。入り口の階段を降りて行く時、初めてタロウ達と出会いますが、まだ交流はありません。ですが、タロウはナイツの準構成員なので玲音の存在は知っているはずです。まったくこの時にはそぶりを見せなかったので、「ワイヤードの玲音」を主として知っているタロウは本当に気付かなかったのかもしれません。

●冒頭で出てきたアクセラを飲んでいた男が一瞬映ります。彼は今回もここにいるのでした。

●壁にもたれて話をしている4人。「玲音とそっくりな人物」について話しています。すると突然乾いた音と共に悲鳴が上がり、スポットライトの1つが砕けます。人々は逃げ惑い、玲音達はそれを呆然と眺めています。

●数人が血を流して床に倒れています。「アクセラの男」はレーザーサイトのついた銃を手に、荒い息をしながら立っています。人々が去ってしまったホールの中央に「アクセラの男」、誰もいない壁際に玲音が立って、心配したありすが「おねえさん」役としての行動として玲音に駆け寄ります。

●玲音の顔を見た男は驚愕し、「なんでオレにこんなことさせんだよぉ」と叫びます。彼が玲音とそっくりな誰かに何かを示唆されてこの殺戮を行ったことがこれでわかります。それが「ナイツ」のつくった玲音の虚像か、ワイヤードの玲音か。ただ、ワイヤードの玲音はかなりはっきりとした性格なので、このような殺戮に結びつくようなことを示唆したりはしないと思いますが。

 彼は「オレはただ、頭をクリアーにしたかっただけなんだ」とも言っています。とすると彼はそのために発砲したのでしょうか。ひょっとすると彼もまた、玲音と同じように「電波声」を聞いていたのかもしれません。それを払拭するために、アクセラを飲み、ナイツ製の玲音と会い、何かを吹き込まれて、こういった行動をとったのかも。

●この直後、玲音の人格が一変します。そう、あの「ワイヤードの玲音」に。恐れ気もなく男に近づいた玲音は「どこにいたって、人は繋がっているのよ」と告げます。男はこれを聞いた後、自分の口に銃を向け、自殺してしまいます。このセリフを聞いて自殺したのだとすると、彼にはこの言葉がそれほどのインパクトを持っていたことになります。ナイツ製の玲音によって吹き込まれたこととは全く違ったことを言われたためなのか、それともこれこそが彼の聞きたかった言葉だったのでしょうか?

to B continued


 今回はわりと疑問点が多く残ってしまいました(前回も「これだっ」てのはなかったけどね)。私はまだlainの半分もわかっていない(T_T)。まあ、ぼちぼちと見ていきましょう(ってすでに20回以上みとるやんけ)。さいわいlain熱はいまだ衰えず、じわじわとカイロのように保たれているようですから。

 「ここはこう見るのだ」という意見がありましたらどうぞメールなり掲示板なりにてお伝え下さい。「コイツばっかでー」というおまけがついてても結構ですので(笑)。


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