鴻ノ舞金山

北海道の廃墟にありがちなことだが、冬の雪の重みで屋根が抜け落ち、壁と柱だけになってしまている物件が多い。最初の写真がいい例だろう。屋根が落ちると陽光が差し込むので、雑木がすぐに生えてくる。そうすると雑木林を抜けて廃墟に辿り着き、窓から中を覗き込んでみると、そこにもミニ雑木林になっているという、ちょっと不思議な光景を目の当たりにすることになる。さて、鴻ノ舞金山にはもうそれほど巨大な廃墟物件は残っていない。だが、なぜか人を惹きつけるものがあるのは、ここが炭鉱ではなく金山だったという事実だろうか。そう、ゴールドラッシュがあったのだ、ここには。ひと頃は売春宿ができるほど人が集まったと言う。ところが現在、ここ一帯には誰も住んでいない。その落差がおもしろいし、この場所に漂う独特のけはいの素になっている。さて、上の写真は1990年のもの。下に1992年に再訪した時のものをアップする。同じ場所でありながら、雪が降ると風景の印象がまるで変わってしまうのも北海道(というより雪の降る地方)の特徴だろう。

最後に所在地を。北海道の地図でサロマ湖を見つけ出したら、その西にあるのが遠軽町。遠軽町の北西に滝ノ上町という町があるがそのちょうど中間ぐらいの位置にある。人が住んでいないので、ここが「鴻ノ舞」であるという表示は何もない。人に尋ねようにも人がいない。しかしなんとなく車を走らせていると廃墟があらわれてくるのでわかるだろう。