関根博之作品
関根さんは80年代後半から、廃墟・廃屋そのものへ8ミリカメラを向けた映画をつくっている。劇映画の撮影場所として廃墟が使用されるのではなく、廃墟のもたらす何だかことばにしようもない感情の昂揚を映画にしてきた人なのだ。ワタシはそのことを「関根さんの映画をみていて脳内射精してしまう」とか書いたら、関根さんからおほめの葉書をもらってうれしく思ったことがある。さて、関根さんの作品をその中で撮影されている廃墟の件名だけリストにしておこう。
「井荻の廃墟」8分、1989…本サイトでも紹介している井荻の廃墟で撮影された作品。
「大久保の廃墟」12分、1989…新宿区百人町にあった廃墟で撮影
「独身者のアパート」16分、1990…墨田区両国のアパート廃屋で撮影
「山王ホテル」14分、1990…千代田区永田町
「AKIHABARA」23分、1991…千代田区外神田の市場の取り壊し中に撮影
「六本木の廃墟」55分、1992…港区六本木の旧フィリピン大使館での撮影。55分を廃墟映像だけで構成していながら、まったくあきさせず、それどころか陶酔にまで至らせてくれる。凄すぎる。脳内射精しまくりの映画。あまり上映されず、自分の記憶だけにとどめておきたいというわがままな気持ちにまでさせてくれる。でも見てほしい。
「U・0」22分、1992…府中市浅間町の米軍基地跡に潜入して撮ったシリーズ。5作目までが完成している。これまた凄いよ。5作目では巨大パラボラアンテナに関根さんは登るのだ。
「U・02」30分、1993
「U・03」35分、1993
「U・04」30分、1993
その他にも「Tokyo Sanpo」シリーズがある。本サイトの「ラ・カメラ」のところから、関根さんの映画の上映チラシの画像と文章も読めます。全部で3回上映をおこなっていて、1994年4月、1996年4月、1997年2月のところを見てください。
山田勇男作品
「ボエオティアの山猫」15分、1987…美唄炭鉱廃墟
「水晶」10分、1988…茨戸ハワイランド廃墟
「夢を冠に」16分、1990…美唄炭鉱廃墟
山田さんの作品はどれも廃墟テイストに溢れているのだけど、いざどこそこで撮影したものを特定しようとするとこの3作品しか書けない。今のところ唯一の劇場用映画である「アンモナイトのささやきを聞いた」では、手稲金山や小樽の観覧車などでも撮影している。これはビデオになっているので、探せばまだあるかもしれない。山田作品はラ・カメラでたくさん上映しているので、ラ・カメラのページを見てください。チラシのデザインも山田さんですので。
石井秀人作品
「光」48分、1999年…群馬県高崎市の「群馬の森公園」の隣にある火薬工場跡で撮影された映画。廃墟がテーマではないが、廃墟のもたらす愉悦がじわじわと感じられる映画。ラ・カメラでは1999年10月を参照のこと。
山崎幹夫作品
「ターミナルビーチX」47分、1981…茨戸ハワイランド
「ゴースストタウンの朝」46分、1983…茨戸ハワイランド
「極星」75分、1987…戸山の精神病院廃墟
「VMの夢想」8分、1989…美唄炭鉱廃墟
「猫夜」80分、1992…茨戸ハワイランド
「プ」92分、1994…北海道夕張市の廃墟、廃屋各種
「虚港」80分、1996…丸山変電所跡、千葉県勝浦市の砂置き場廃屋
「V.M.」80分、1997…埼玉県日高市のラブホ廃墟
それぞれの作品内容については「山崎幹夫の映画」のページを見てください。こうリストにしてみると意外に廃墟探索をしたわりには少ないものだと思いました。廃墟で撮影しても、その映像は使わずに、そこへ行く途中で撮ったものとかを採用したものもあるということに気づきました。この中で「プ」だけは商業映画なので、レンタルビデオになっています。まだビデオ屋さんによっては置いてあるところもあるでしょう。それ以外は上映会をして見てもらうしかありません。何度も書きますが、廃墟ファンからの視点でこういう映画の上映がおこなわれるというのは私も知りません。ぜひ一度やってみてもらいたいものです。全面協力しますので、連絡ください。