映写機ベルトをウレタンコードで自作する方法

『8マニュ』では文章での記述ゆえ、わかりにくいかと考え、映像入りで説明することにしました。
まずは映写機の裏蓋を開けます。メーカーや機種によって違いますが、コインかプラスのドライバーで開きます。注意すべきはサウンド映写機で、本体と裏蓋側にとりつけられたスピーカーが、リード線で結ばれています。乱暴にひっぱって、これを切断しないようにしましょう。

写真はチノン7200です。ややわかりにくいですが、スピーカーと本体メカとが、リード線で結ばれていることは確認できると思います。
次に本当にベルトが切れているかを確認しましょう。
メーカーによって位置は異なるのですが、基本はモーターの回転を伝えるということです。

同じチノン7200のベルト部分です。左にあるのがモーター。そこから、右の白い歯車に回転の運動を伝えるのがベルトの役目。ゴム製で色は黒なのでちょいと視認しにくいでしょう。ともあれ、この部分に何もなければ、ベルトは切れて下に落ちているはずです。探してみましょう。
次は切れたベルトと同じ長さにウレタンコードを切るステップです。ウレタンコードは『8マニュ』にも記述してあるように、東急ハンズの素材売り場、ゴムベルトと一緒にメーター単位で切り売りされてます。以下の画像のものは直径2ミリのウレタンコードですが、映写機によっては、これでは駆動を伝えられないものがあると判明しました。なので、直径3ミリないし4ミリがオススメとします。
商品名はバンコード。
地方在住の人は、個人にも切り売りしてくれるというので、バンドー東販(03-3639-0811)に問い合わせてください。もと値は1メートル150円から200円ほどだから、失敗のこととか、8ミリ仲間へ都合してあげることなど考えて、たくさん買っておくべきでしょう。
切れたベルトがボロボロの場合も多いでしょう。その時は適当なひもで長さを計測しましょう。タコ糸でかまわないでしょう。

さて私の場合、剃刀を使います。まずは切ったウレタンコードを、輪の状態にして、作業台の上に固定します。この時は黒ガムテープを使ってます。気持ち、圧力(テンション)をかけて固定します。ボールペンの先のあたりが、切断面です。わかりますよね。

次に剃刀を赤くなるまで熱します。手では持てないので、ペンチでつまんでいます。ライターで過熱してますが、ガスコンロの方が火力も強いので、そっちの方がいいかもしれません。つまり台所で作業するということですね。

切断面の切り口に剃刀を差し込み、視認すると、数秒で「じゅわっ」と溶けるのが確認できるので、ひと呼吸おいてから素早く引き抜く。

そうしてそのまま一晩、放置する。ここが肝心カナメのところ。ウレタンは接合してから、完全に内部まで冷えて融合するまで、一晩かかるということ。あせってはいけない。またベルトが切れてしまう。しかるべき強度になるまで、じっと待つべし。

そうして翌日、慎重に装着する。写真はエルモK110-SM。もとの黒いゴムベルトと比較すると頼りないが、きちんとしたテンションで仕上がると、じゅうぶんな強度をもっている。失敗したらまたやり直し。悠長だけれど、この方法がもっとも安上がりだし、簡単でもある。『8マニュ』にも書いてあるが、この剃刀を使う方法は、とある地方の中古カメラ店の、じつに良心的なおじさんから教わった。本当に感謝してます。