30歳 (2003.06.15)
高校2年生のとき、通学途中の電車の窓から『2000年完成予定』という看板を見かけた。その時わたしは、「2000年には27歳だ。きっとOLになって、この電車の窓から完成したのを見るんだろうな」と、なんとなく考えていた。
だけど、いざ2000年の27歳になってみると、実家を出てしまったのでその電車には乗っていなかったし、ましてやOLになっていなかった。
この時のことを思い出してわかることは、高校2年生にして、結婚願望がまるでないということだ。
普通、高校生が20代後半のことを思い浮かべるとき、OLの次には、「もしかしたら結婚しているかもな」と思うはずである。だけど、このときのわたしの想像は、OL止まりだった。なんとなく”結婚している自分”というのが、現実的でなかったのだろう。今となっては、”OLになった自分”も”結婚している自分”も、両方非現実的な気がして想像できない。お父さん、お母さんごめんなさい。

ところで、世間で言う女の30歳とはどんな歳なのだろうか?
30になるというと「大台だね」とか、「いよいよ三十路かあ」とか言われる。OLだったら、影で「お局様」とも言われるだろう。親戚から見合い話が持ち込まれるのもこのあたりだろうか?一般的に30歳とは、「あらためておばさんの第一歩を踏み出す歳」とゆう印象をもっているような気がする。
負け惜しみでも何でもなく、本当にそうなのかな?と思う。

今年の2月にやったライブの打上げの時のことである。
その席には、スタッフ、キャスト合わせて、約20名の人が参加していた。上は52歳から、下は23歳まで。30歳を境にして、30歳以上が10名、30歳以下が10名といった感じの構成だ。
その中で既婚者は、30歳以下から2名、30歳以上から1名の、たった計3名。つまりほとんどが独身。
その時、わたしの年齢の話になった。どうやら、わたしを31,2歳だと思っていた人がいたらしく、29歳だと言うとその人たちは、「ええっ、そうなの!」とやたらと驚いていた。わたしは、なぜか舞台の仕事をしているとき、実年齢よりいつも年上に見られる。そんなに苦労人の顔をしているのだろうか?
そんな驚きの声の中、41歳独身の女優さんがわたしに言った、「じゃあ、これからだね。独身女性は30歳を過ぎてからが楽しいよ〜。」
確かに、その人を見ているとその言葉は納得できる。その人は、舞台女優なのだが、ミュージカルの人なので歌も歌うし、踊りも踊る、振付もやるし、最近では舞台をプロデュースして、けっこう大きな公演も開いている。長くお付き合いしている彼氏もいて、とても楽しそうだ。
その他の40代50代の人たちも男性も女性も、みんなやたらと若い。この人たちを見ていると、とても30歳が怖いなんて思えない。

世の中の人は、20代が終わったら、世の中の楽しみは終わったような言い方をする。だけど、それは違うと思う。わたしの周りの30代以上の人たちは、確実に今の若者よりも楽しんでいる。20代ではわからない楽しみ方を知っている。そしてそんな大人は素敵だ(わたしも大人だけど)。
30歳をバカにする人たちは、きっとそんな大人に出会ってないんだなあと思う。いや、きっとそんな大人が世の中に少ないんだろう。
もうすぐ30歳のわたしは、そんな素敵な大人への一歩を踏み出せるのだろうか?


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