□本番中のお仕事 2003.6.3 萬スタジオ

わたしは、これほどまでにこの芝居を語っているが、実のところ本番は見ていない。
いや、正しくは「見ていない」のではなくて「見れない」のだ。
わたしが本番中に何をやっているのか。まず、チケットの集計。現金の集計はもちろん、半券の数や、ナンバリングをチェックしている。
それから、遅れてきたお客様のご案内。今回の芝居は、映像と暗転が多い。映像や暗転の最中にお客様が入場すると、演出効果の妨げになるので、なるべくそのような場所を避けて入場させる。
そして、役者のケア。芝居の設定が冬のせいで、役者の衣装は厚い。長袖はもちろん、コートやジャンパーを着ている。これは役者にとっては、ものすごくつらい。舞台上は、照明のせいで思った以上に暑いのだ。役者が舞台上で汗をかいているのは、もちろん動き回るからという理由もあるが、照明のせいで客席よりも温度が高いという理由もある。
外から帰ってきて「寒い寒い」というセリフのときに、ものすごく汗をかいているのは、役者としてもつらい。そして何より、倒れられたらことだ。そのため、わたしは舞台袖に、氷と冷たいタオル、そして、冷たいお茶を用意している。
だけど、本当のところ、これを使える役者は少ない。舞台袖といっても、出ハケの邪魔にならない場所においてあるので、ちょっと遠くて出番の多い役者は、そこまでたどり着けない。だから、本当は一番必要な主役が使えない。微妙に意味がないようにも思うが、使ってくれている人もいるのでとりあえず置いておく。
それ以外には、客席から出るシーンの扉開け。別に大した仕事ではないのだが、直接舞台に関わることだけに、なんとなく人に任せられない。もともと、わたしは役者なので、こうゆうことに関しては妙に手を抜けなくて困る。

だから、本番中の芝居の内容についてはあまり多くを語れない。
あしからず。


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