錫杖岳1ルンゼ
1992年2月


4P目?をリードするMくん

第1ラウンド

Sの親父とJ子は、左方カンテへ。
Kくんと私は1ルンゼへ。
Kくんは、当時G峰会の若手エースとして活躍していたけれど、
初めてロープを結ぶのにいきなり1ルンゼは怖かったので
前週に戸台の舞姫や駒津沢あたりでトレーニングをしました。

準備万端?で向かった1ルンゼですが、あいいくの天気となりました。
お互い左方カンテへの転進を少し考えたのですが口には出せず
小雪舞う中登りだしました。
何P目だったでしょう、本降りの雪の中
スノーシャワーというには、あまりに膨大な量の雪に
落ちるまいと必死にアックスにすがる自分の姿がありました。
ランナウトしていたから、落ちていたらただでは、すまなかったと思います。
あたり前の話ですが、降雪中のルンゼは登攀対象外です。


第2ラウンド

前回の教訓を胸にパートナーをMくんに替え再び1ルンゼに向かいました。
初日にロープ2本をフィックスし、翌朝ユマーリングで登り始める。
前回と打って変わって雲1つない好天です。
何ピッチ登ったでしょうか・・・。
日が当たり気温の上がりだした東面の壁は、落氷が始まるのです。
規則的に落ちる落氷やスノーシャワーの合間をついて祈りながらの下降。
日の差した東面のルンゼもまた、登攀対象外です。


第3ラウンド

三度、1ルンゼへ。
今後は、NorthVILLAGEくんをパートナーを替え
2ピッチフィックスの後、翌朝ヘッドランプをつけてユマーリング開始。
これが、東面のルンゼルートを登る本来の姿でしょう。

何ピッチ登ったでしょうか。
ヘッドランプが不要になりしまうころには、小雪が舞い始めました。
1度目の雪崩に近いスノーシャワーの悪夢がよぎったことを覚えています。
数分後、僕らは懸垂を始めていました。

「登れなかった1ルンゼのお話」です。
アイスクライミング自体にさほど興味があったわけではないですが、
錫杖の1ルンゼと丸東の2ルンゼは押さえておきたかった課題でした。


2005年2月25日 記