利尻南稜
1988年3月


南稜の登攀を終えて北稜を下降する私

岡田昇氏による利尻の3つの稜の記録を古い岩雪で読んで以来、
南稜はどうしても登っておきたい課題でした。

「稚内で会いましょう。」
松本に移り住んだ少し年上のYさんとは、お互い北の山に興味を抱いていたこともあり、
自然とロープを結ぶ機会も増えていったように思います。

1988年3月、心配されたフェリーの欠航もなく、
春を思わせる陽気の中、鬼脇からヤムナイ沢を詰めていきました。
登山者は、僕ら2人のみ。この天気なら楽勝かな?

稜線に上がってからは、さすがに風雪に悩まされ、
雑誌でみたような美しい写真を撮る余裕はなかったと記憶しています。
フカフカの雪のナイフリッジ、苦労して潅木を掘り起こしての懸垂、
ロープを引き抜いて退路がなくなってからの停滞、少し?悪かったバットレスの登攀。
すべてが印象深い山行でした。

いい登山には、良き山と、良き仲間が必要です。

雪洞の中で約束した、屋久島での沢登り。いまだ実現できずにいます。

2005年1月22日 記