奥鐘山〜唐松岳
1985年5月


南越付近?でKさんと

「大きい壁を弱点をついて登るんが面白いんや〜」

モレーンのような雪渓を超え、腰までつかる渡渉の末、初めて見上げた奥鐘は、
うわさ程大きくは、見えなかった。
5月の奥鐘は、アプローチに雪渓を使え、壁のブッシュもすっきりしているらしいが
、前衛壁に新しいラインを引いていたというUクラブの方々と
我々の2パーティだけだったように思う。


「やまだく〜ん。トップ行きたいんか。そうか。岩登りは、トップで登らなおもろないからな。」

初日は、トップを引かせてもらう。
悪い草つきから、適当に登っていくが、どうもルート図とあわない・・・。
紫岳会ルートのつもりが高知ルートに入ってしまったようで・・・。
とりあえずは、いったん降りてビバークとなる。

翌日は、Kさんトップで紫岳会ルートを重荷にあえぎながらフォローする。
冬山装備一式の重荷にプラスティックブーツの足回りでは、
快適なクライミングというものとは、程遠かったように思う。

それでも、なんとか頂上を経由して唐松岳へ。
「奥鐘山に上部岩壁はない!!」という名言もあるが
唐松や鹿島を頂上に見立てると展望のない奥鐘山の頂上も
立派なひとつの通過点となるのです。

壁だけ登って懸垂するクライミングでは、味わえない
充実した山行になること請け合いです。

このときは、僕がメゲタので、不帰は、登らなかったけれど・・・。


「わしゃ〜、現役が好きや。登らんくせにゴチャゴチャいうやつは好かん」
そんなことを言っていたっけ。

”毎週ウィンドサーフィンに行っているらしい”とか
”吹田から日本橋まで24時間以内でチャリで駆け抜けたらしいで”とか
聞こえてくる話はKさんらしく、フィールドは変われど
”現役”であり続けていたようです。

あれから、もう20年。
Kさんももう”おじいさん”になったらしい。


2005年3月12日 記