南越付近?でKさんと
「大きい壁を弱点をついて登るんが面白いんや〜」
モレーンのような雪渓を超え、腰までつかる渡渉の末、初めて見上げた奥鐘は、
うわさ程大きくは、見えなかった。
5月の奥鐘は、アプローチに雪渓を使え、壁のブッシュもすっきりしているらしいが
、前衛壁に新しいラインを引いていたというUクラブの方々と
我々の2パーティだけだったように思う。
「やまだく〜ん。トップ行きたいんか。そうか。岩登りは、トップで登らなおもろないからな。」
初日は、トップを引かせてもらう。
悪い草つきから、適当に登っていくが、どうもルート図とあわない・・・。
紫岳会ルートのつもりが高知ルートに入ってしまったようで・・・。
とりあえずは、いったん降りてビバークとなる。
翌日は、Kさんトップで紫岳会ルートを重荷にあえぎながらフォローする。
冬山装備一式の重荷にプラスティックブーツの足回りでは、
快適なクライミングというものとは、程遠かったように思う。
それでも、なんとか頂上を経由して唐松岳へ。
「奥鐘山に上部岩壁はない!!」という名言もあるが
唐松や鹿島を頂上に見立てると展望のない奥鐘山の頂上も
立派なひとつの通過点となるのです。
壁だけ登って懸垂するクライミングでは、味わえない
充実した山行になること請け合いです。
このときは、僕がメゲタので、不帰は、登らなかったけれど・・・。
「わしゃ〜、現役が好きや。登らんくせにゴチャゴチャいうやつは好かん」
そんなことを言っていたっけ。
”毎週ウィンドサーフィンに行っているらしい”とか
”吹田から日本橋まで24時間以内でチャリで駆け抜けたらしいで”とか
聞こえてくる話はKさんらしく、フィールドは変われど
”現役”であり続けていたようです。
あれから、もう20年。
Kさんももう”おじいさん”になったらしい。