水晶岳〜赤牛岳読売新道 
(サラリーマンバージョン危機一髪編)


赤牛岳

日時:2004年7月24日〜25日
メンバー:単独
コースタイム
7/24(土)
新穂高温泉(2:40)〜ワサビ平(3:55/4:05)〜チボ岩(5:05/→)〜イタドリガ原(5:20/→)〜くねくね分岐(5:40/5:50)〜鏡平(6:35/6:50)〜稜線雪渓(7:50/8:00)〜双六小屋(8:35/8:50)〜双六巻道分岐9:10/→)〜三俣峠(10:35/→)〜三俣山荘(11:00/11:20)〜黒部源流(11:40/→)〜岩苔乗越直下で水調達(12:30/12:40)〜岩苔乗越(12:45/→)〜ワリモ北分岐(13::10/→)〜水晶小屋(13:50/14:15)〜水晶岳山頂(14:50/15:00)〜温泉沢ノ頭(15:50/→)〜二重山稜幕営サイト(16:05)
7/25(日)

二重山稜幕営サイト(4:05)〜赤牛岳(5:35/5:50)〜読売新道4/8(6:45/6:55)〜読売新道2/8(7:40/7:50)〜読売新道1/8(8:10/8:20)〜奥黒部ヒュッテ(8:40/9:15)〜平ノ渡し(11:05/12:20)--平ノ渡し(12:25/12:30)〜中ノ谷(12:50/ルート失い藪漕ぎ13:20)〜御山谷(15:05/15:10)〜ロッジくろよん(15:40/→)〜観光船乗場(15:50/15:55)〜黒四ダムトロリーバス乗場(16:05)

山行メモ

鏡池 鏡平小屋
穂高
水晶 ワリモ 鷲羽 怪しい天気
水晶岳カミナリゴロゴロ 二重山稜幕営サイト

7/23(金)夜発〜7/24(土)
 赤牛岳読売新道。本当は前週3連休の計画であったが、とても行く気のする天気ではなかった。案の定、中部以北はどしゃぶり。次の三連休はいつになることやら?また天気もどうか?こうなったら奥の手。手段を選ばず。無い体力と休暇は、軽量化と金と行動時間で補う。いつになく綿密に計画した。
 最短アクセス路は竹村新道か。しかし、七倉ダム廻り夜間ゲートクローズによりスタートが遅くなるのと水確保にやや難あり。発想を変えて、出発時刻が自由となる新穂高温泉アプローチ、水の豊富な小池新道〜黒部源流経由とした。 出発前、奥黒部ヒュッテとロッジくろよんへTELにて情報入手。多少の食い違いがあるが、黒四ダム平の渡し間の橋が3箇所流されている。水量によっては飛び石つたい渡渉も可能。橋そのものは25日中に復旧の見通しもあるものの、一般にお勧めできないとのことであった。
 新宿発20:00スーパーあずさに乗る。松本に中央線で来たのは、20数年ぶり。食料補給など駅廻りをしばし散策。本当は下山時が良かったのだけれど、懐かしさのあまり萬来ののれんをくぐってしまった。残念ながら山賊焼きを食いきる自信がなく、生ビールとわずかのツマミを注文して我慢した。0時すぎ、大枚はたいてタクシーで新穂高に入る。バスターミナルで仮眠する。
 ワサビ平までの林道は暗いうちに稼いでおこう。新穂高2時半スタート。鏡平からは、槍穂高稜線の逆光シルエットが美しい。カット、カットで、ひたすら水晶赤牛稜線を目指す。双六〜三俣間の巻道は初めてであった。のびやかなカール、高山植物咲く、心地良いところだ。三俣山荘より黒部源流へ下降し岩苔乗越へ登り返す。乗越直下、黒部源流の水調達。順調。予定どおりだが、空のゴロゴロが気になりはじめる。パラパラ来ていた雨は、水晶小屋で突然どしゃ降りとなる。小屋の中は、既に満員電車のようだ。降り具合を見計らい早々に退散。水晶山頂に向かう。この山頂。20数年前、裏銀座縦走時に立ち寄ったとばかり思っていたが、まったく記憶がない。どうやら初めてのようだ。
 雨で視界の無い山頂を後にし、テントサイトを探しながら歩く。水晶岳より温泉沢の頭へ、次々と候補が表れる。ハイマツ式防風型や雪渓脇に構えたサイトなど実に豊富だ。視界の利かぬ中、後ろ髪を引かれながらも、次々と見送る。温泉沢の頭から、約15分、なんとも素晴らしいサイトに出会った。晴れていれば、それこそ北アルプスど真ん中、楽園のよう。翌日の行程を考えると、もう少し赤牛岳に近づいておきたいところであったが、断続的に来るどしゃ降りも、幸いひと休みしている。避雷効果があるか知らないが、二重山稜に囲まれているのが、どうにも気に入った。雨水の流れも一目瞭然。寝心地の良さそうなところはいくらでもあるのだが、雨水排水性能を重視し、少少痛そうなスペースに幕営した。
 徹夜同然で行動してきたのだから、ビールを飲んで夕食をとり、爆睡するはずだった。3時間程寝ただろうか、全天空スピーカの爆音とテントの中がストロボ状態!ただならぬ気配に目が醒める。ゴロゴロなんてもんじゃない。バッバッ!バリバリバリーン!ドドドッカン!キーン。合間の沈黙で耳をすますと、絶対誰もいないのに、山靴の音が聞こえる。毎度のことでもあるが、やっぱり気のせいだ。

赤牛山頂より水晶岳 奥黒部ヒュッテ
黒部湖 平の渡し

7/25(日)
 しばらく寝たのだろう。時計は3時を指している。サラリーマンとしては、なんとしても今日中に東京に帰る。平の渡し12:00目標。朝食をとりテント撤収、4時出発。天気予報は昨日に引き続き、午後から局地的雨とかみなり注意とのこと。いまのところは、まあまあの天気。赤牛岳への稜線、黒部側を巻く部分は決まってゴロゴロの道。明るくなるまでわずかだが、ヘッドランプたよりに何度もルートを失う。しだいに明るくなり、のびやかな稜線漫歩となる。茶褐色の歩きやすい道だが、右足踵が痛みはじめる。振り返ると水晶岳が立派だ。ガスで展望がいまひとつなのが悔しい。赤牛岳山頂。晴れていれば、なんと素晴らしいか。後立山、剣立山、薬師、船窪稜線、黒部源流の山々、槍穂高!いっさい見えないのだが思い浮かべてうっとりする。
 山頂をあとにし、雨量計のあたりで、雨が降り出す。2/8付近で単独入山者に会う。水晶以降出会ったった一人の人。不意に出会いびっくりする。すれちがいj時刻に疑問を持ったらしく、話かけられたので、温泉沢ノ頭近くで幕営と答える。黒部川沿いのルート状況を聞く。「平の渡し〜奥黒部ヒュッテ間はしっかりしている。むしろ、平の渡しから黒四ダムまで、2〜3箇所、非常に判りにくい。」と情報を得る。奥黒部ヒュッテで休憩、水を補給する。平の渡しまでのアスレチック街道をゆっくり慎重に歩く。雨と恒例のカミナリが始まる。ヌリュヌルの丸太垂直バシゴにしがみ付き、ビビリながら行く。平の渡し針の木側は現在仮設桟橋が使用されており従来の場所と異なっていた。本当にここで良いのかと不安になりながら1時間一人で船を待つ。時刻どおり船は向かえに来てくれ、12時25分黒部湖を渡る。平の小屋には寄らず、中の谷へ出発。黒四トロリー最終は17時35分。これなら多少ロスしたところで余裕だと高を括る。
 中の谷は情報どおり既に橋がかけてあった。しかし、渡った後のルートがまったくわからず。下流に降りれば登山道に上がれないと思いつつも、やはり降りてしまう。登り返して、200メートルほど上流に向かうが、ハシゴが流されているのか、土砂崩れなのか、道は発見できず。ウロウロしながら無理やり藪を直上する。30分藪探索でどうにか登山道に這い上がる。渡渉のたびにこんなことでは、先が思いやられる。ロスタイムを取り戻そうとあせり始める。2パーティー抜き、10名ほどの大パーティを抜く。いずれも五色ガ原からの下山と聞く。御山谷15時10分。ここまで来ればあとはロッジくろよんでビールでも飲んでのんびり行けば余裕だと、雨の中、煙草タイムとした。抜いたばかりの大パーティ先頭チームが、ペースをあげて来た。「パーティを分割し帰宅チームは16時35分最終トロリーに乗ると言う。」・・・「ん?」「俺の調べに間違いはない。最終は17時35分だ。」と思ったのだが、そう言われると突然不安になり立ち上がる。「トロリーバスを10分待たしてくれ」と頼まれ、一応やってみると引き受けた。右足の踵は限界に達しており、飛ばしているつもりでも、気ばかりで、ちっともスピードが出ない。事前情報どおり、タンボ沢も既に橋が掛けられていた。ハシゴの修復作業の方がいたので、出来立てのほやほやのようだ。もう藪で楽しんでいる暇はない。聞くに限る。橋を渡ってからの登山道取り付きを確認する。やはり登山道は40メートル上流だった。ロッジくろよんまでの小沢で崩れているところがあり、ザレザレの崖に一瞬怯む。今度は下流に数メートル廻り込むと、安定した草付きがあった。ロッジくろよんで、トロリーバス最終時刻を確認する。「17時35分だから余裕ですよ!」と。 やはりガセネタだった。 ビールタイムと思ったが、せっかくなので16時35分に乗ることにする。つり橋を渡り黒四ダム観光船乗場につくと、なんだか様子が変だ。従業員がバタバタと戸締りをしダムに急いでいる。トンネル歩行中に電気が消え、ヘッドランプをだす。ケーブル駅で係員に聞く。雨量規制でアルペンルートは停止。下山は次のトロリーバス16時35分が最終になったとのこと。どしゃぶり真っ暗の黒四ダムを渡る。16時04分きっぷを買う。「もし次が最終なら、まだまだ下山者がいるので10分待ってもらえないか?」と頼む。駅員は、「登山者は全員拾います。心配ありません。」と言ってくれたが、「とにかく16時35分が最終なので乗って下さい。」と。16時40分。先ほどのパーティ帰宅チームがなんとか飛び乗って出発。他のパーティが17時35分を目指しているかは不明だが、内蔵助方面からも下山者はまだまだいるかもしれない。やはり17時35分は非公式に運行され、乗り遅れ回収?従業員下山便に当てられるのだろうか?いったいどういう仕組みになっているのだろうか?
 いずれにしても、ガゼネタに救われた。果たして、綿密な計画には、ずいぶんと無理があった。こういう山行はしてはいけない。なにより心臓に悪い。


装備
テント 

駐車スペース
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飯処
 萬来(松本)
立ち寄り湯
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