ノドがカラカラだ。照りつける太陽。真っ青に晴れ渡った空には雲一つない。辺りは一面の砂が何処までも続いている。
俺はどうして、こんな砂漠を歩いているのだろう?あまりの暑さに汗も枯れてしまったようだ。渇いているのはノドだけではない。体中がひからびてしまったようだ。
白い半袖のシャツを着ていたが、ヨレヨレになっているものの、湿ってはおらず、一度は汗だくになったのだろうが、今はすっかり乾いてしまっている。
水を飲みたいのだが、何も持っていない。この広い砂漠を歩くというのに、ペットボトルも持っていない。それとももう飲んでしまったのだろうか?
ポケットを探っても小銭も入っていない。例えお金があっても、こんな場所に自動販売機があるはずもなく、飲み物を買うことはできないだろうが・・・。
俺は何のためにこの砂漠を歩いているのだろうか?何処へ行こうとしているのだろうか?いつからこうして砂漠を歩いているのだろうか?
そうなのだ。俺にはまったく記憶がなかった。俺は普通の大学生で、昨日も・・・機能かどうかは定かではないのだが、普通に大学に行き、授業を受け、友達と喋っていた。それがどういうわけかこんな砂漠を歩いているのだ。
ここが日本かどうかも分からない。日本にこんな広大な砂漠は存在するのだろうか?名にも分からなかった。
このままでは力尽きて死んでしまう。不安が込み上げて来たが、同時にこの経験は初めてではないという気がしていた。
以前にもこうして砂漠を歩いたことがあったような気がする。いや、確かに俺は以前にもこの
砂漠をこうして歩いたことがある。それも一度ではない、何度も歩いている。
ということは、この砂漠を抜け出すことができるはずだ。でも、ノドがカラカラだ。このままでは倒れてしまう。
遠くに青い光が見えた。そうだ。砂漠にはオアシスがあるのだ。以前にもあのオアシスで思いきり水を浴びたことがあったはずだ。
俺は最後の力を振り絞って、オアシスに向かった。気持ちは走りたいのだが、体が言うことをきかない。気力を振り搾って一歩一歩、歩を進めた。
ようやくオアシスにたどり着いた。そこは幻ではなく、本物のオアシスだった。俺はゴクゴクと水を飲み、頭から水をかぶった。何て気持ちがいいのだろう。
そうだ。前にもこれを味わったことがある。何度も経験している。そうだ。そうなのだ。
「また、やっちゃった」
俺は目が冷めた。砂漠を歩き、オアシスで水を浴びたところで目が覚める。そんな夢を何度も見たことがある。
そして目覚めると、おねしょをしているのだ。大学生にもなって、この夢を見るとおねしょをしている。何とも情けない話しだ。
了