Vol.47   居場所

 僕はずっと居場所を捜していた気がする。若かった頃、何だかここは僕が居るべき所ではないと思い、旅に出た。まだ世間の何も分からなかった頃だったからやみくもに飛んで行った。
 そんな生活に疲れて、一度立ち止まってみた。しかし、やはりそこは僕の居場所ではなかった。すぐにそれが分かって再び飛び立った。
 以前ほど若くはなかったから、しばらくしてある場所に腰を落ち着けた。しかし、どうしてもここが僕の居場所だとは思えなかった。結局、僕はまたもその場所を離れることになった。
 あまり長い旅ではなかったと思う。僕はまたある場所に辿り着いた。今までの比べて居心地のいい場所だった。もう若くはないし、ここに落ち着こうかとも思った。しかし、どうしても何かが違うという気持ちが捨てられなかった。あと少し、ほんの少しで僕の居場所が見つけられる。そんな気がしてならなかった。そして僕は旅だった。
 短い旅だったと思う。ストーンとその場所にはまったという感じだった。ここだ。ここが僕の求めていた居場所だ。ようやく僕は自分の居場所に辿り着いた気がした。

「ナイス・パー」
「いや、まぐれですよ」
「いや、お見事でした」
「さあ、次のホールに行きましょう」

 しかし、運命のいたづらか、私はせっかく見つけた自分の居場所を立ち退なかなればならなくなった。私には安住の地を求めることはて許されていないということか。常に冒険しなければならない運命に生まれてきたのだろうか。それならば、もう一度、大きく旅立ってみよう。

「ファー」
「いかん、OBだ」

                                  了


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