Take:4
・夢を記録する魔法の箱

〜フィルムとカメラのご紹介〜
フィルム缶
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最近は値段が安くなったのと画質が向上したため、デジタルカメラ全盛ですね。現像に出す手間がかからないのも流行る要因かもしれません。カメラにフィルムを装填することなど最近やっていない方も多いのでは。

みなさんがカメラに入れていたあのフィルム、映画用のフィルムを短く切ったものだったのをご存知でしたか?

1880年、アメリカのジョージ・イーストマンがイーストマン・コダック社を設立。イーストマンはセルロイドに乳剤を塗った撮影用フィルムを発明します。当時カメラといえばガラス板に感光乳剤を塗ったものを使っていて、撮影する枚数だけ重いガラス板を運ばなければならず、イーストマンの発明はカメラを小さく軽くできる画期的なものでした。

これを見て自分の発明に応用できないかと考えていたのが、発明王のエジソンです。蓄音機や電球を発明していたエジソンは当時、動く映像を記録・再生できないかと考えていました。

コダック社で使っていた7cm幅のフィルムをとりよせ、それを半分に切り裂き、幅3.5cm、長さ60mのフィルムを作りました。このフィルムの両端にフィルムを送るための穴を開けると、世界初の映画用フィルムの完成です。1893年に、「独り一人、箱の中を覗くタイプの映写機」キネトスコープが出来ました。

映画、写真用のフィルムが横幅35mmなのは、このときエジソンが作ったフィルムの大きさを元にしているからです。

カメラの話ついでにもう一つ話すと、当時カメラが重くて撮影のたびに苦労していた人がいました。ドイツの技術者、オスカー・バルナックです。

何とかして軽いカメラが欲しかったバルナックは、この映画用の35mm幅のフィルムを使って写真を撮ることを思いつきます。映画では縦方向で使っていたのを横方向に使い、丸めたフィルムを顕微鏡のレンズケースに入れて持ち運びました。

このカメラは改良を重ね、バルナックの働いていた会社、エルンスト・ライツ社の優れたレンズが装着されて販売されました。これがライカ(Leica ライツ社のカメラ)です。

短く切ったフィルムを缶に丸めて入れておく方法やシャッター位置、巻き上げレバーとシャッターの同調など現在使われているカメラのデザイン・規格はこのときに完成し、フィルムを横向きに使った24×36mmの画像サイズは「ライカ判」といわれ35mmスチルカメラの標準となりました。

というわけで、カメラ屋で手に入るフィルムと映画用のフィルムは幅、穴の大きさに至るまで同じものだったのです。理屈で言うと36枚撮りを何本もつなげば映画用フィルムになりますが、10秒撮影するのにフィルムが約5m弱ほど必要ですからどのぐらい買えばいいんでしょう?

映画撮影用には、主に400フィート巻き(約122m)を使います。だいたい1巻で4分ほど撮影できます(ノーマルスピードの場合)。上のサブタイトルの横にある画像は、巻かれたフィルムが入っている缶です。

映画を撮影するカメラにどんなものがあるか、僕の知っている範囲で書いてみます。
(下線のある部分はWEBサイトにリンクしています)

まずは「パナフレックス」。アメリカのパナビジョン社のカメラです。新しいものから、ミレニアムXL、プラチナ、ゴールデンと名前が付いています。非常に動作音の静かなカメラで、そばにいてもカメラが回っているのに気が付かないこともあります。

ミッチェル(伝統ある昔のカメラ)のしっかりした駆動設計を用い、もともとMGM映画のカメラ部門から独立したパナビジョン社はレンズの性能が有名で、大画面でも破綻のない画質から良く使用される事となり「パナビジョン」と「シネマスコープ」が同義語に使われる事があるほど普及しました。

今はプリモと呼ばれるレンズが良く使われています。さて、カメラはどんどん小型・軽量化されているのに、プリモのズームレンズなどはレンズ性能を上げるのに口径を大きくしたりして、大型化する傾向にあるのを見ると複雑な気分です…。運ぶのが大変ですから(汗)。

次は「アリフレックス」。ドイツのARRI社のカメラです。もともと「アーノルド・アンド・リヒター」という社名だったのですがアーノルドの頭文字"AR"、リヒターの"RI"を使ってARRIと表記しているようです。現在35mm映画撮影用カメラとしては235、435、535Bなどのラインナップがあります。

第二次大戦の頃から使われ始め、ドイツの戦闘機メッサーシュミットやフォッケウルフに取り付けられ空中戦を撮影したとか。そのせいか頑丈さに定評があり、販売をしていることもあって(パナビジョンのカメラはレンタルのみで販売はしていない)、ハリウッドではアクション映画のスタントシーンなど衝撃が大きい、カメラが壊れてしまいそうな撮影で使われていたりするようです。

アリフレックスの特徴は、小型・軽量で手持ち撮影しやすいこと。昔のニュース映像などを見ると、アリフレックス2Cを持った記者が映っているのを見かけます。
ヌーベルバーグの形にとらわれない、自由なカメラワークはアリフレックスの機動性があってこそでしょう。スタジオから外へ飛び出したくなる身軽さを持つキャメラです。

またアリフレックスにはカール・ツァイス製の描写力に優れたさまざまな映画用レンズが取り付けられます。ツァイス・レンズの性能は、いまさらここで書くこともないでしょう。
スタンリー・キューブリックはアリフレックスを好んで使っていたようで、さまざまなメイキングフィルムや写真にアリフレックスと写っています。

アリフレックス2Cキャメラを持つキューブリック キューブリックとアリフレックスBL
アリフレックス2Cキャメラを持つキューブリック 同時録音用キャメラのアリフレックスBLとキューブリック


日本で使われているムービー・キャメラは主にこの二つで、ヨーロッパ等では他にムービーカムアトーンといったカメラも使われているようです。

レンズについては、望遠系のレンズではパナでもアリでもキャノンのFDレンズ(いわゆるマニュアルフォーカスの白レンズ)のマウント部分を映画カメラ用に改造したものが多く使われています。

ずらっと書いてしまいましたが、カメラについて興味が湧きましたでしょうか?

それではこの辺で筆を置き、次回に書くネタを考える事にしましょう…。

(追記:フジフィルムの映画撮影用フィルムのカタログはこちら。 KODAKの映画撮影用フィルムのカタログはこちらです。take.11にて映画撮影用レンズについて記しました。)



今日ご紹介した映画・書籍(書籍販売サイトへリンクしています)

Arricam Book(洋書・ペーパーバック)

Panaflex Users' Manual(洋書・ペーパーバック)

Arriflex 35 Book: A Guide to the 35Bl, 35-3.35-2C, and 35-3C System(洋書・ペーパーバック)

マスターズオブライト―アメリカン・シネマの撮影監督たち

ツァイスイコンのすべて―ライカに挑む!新型レンジファインダー機、満を持して登場!



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