New Wave
         Xtc / Oranges & Lemons (1989)  
   『 80年代を我らの手に 』

 

 もう誰が何と言おうと、「停滞の80年代」を吹き飛ばす、大傑作アルバム。スピーディーにたたみかける、怒涛のポップ全15曲。特に「メイヤー・オブ・シンプルトン」、「キング・フォー・ア・デイ」と続く前半のハイライトのところでもう、あまりのXTCぶりにもんどりうってしまいます。

 このアルバムをもってして(前作「スカイラーキング」のこともあり)、80年代のビートルズ、と呼ばれるようになった気がします。が、ビートルズなんて後ろを振り返ってられるかよ、と思っていた自分には、XTCはやはりXTCでした。その証拠に、この時代ビートルズなんてちっとも聴かなかったけれど、「オレンジス・アンド・レモンズ」は何十回も聴きました。

 どちらかというと密室性を突き詰めていった80年代のXTCが、その最後の89年に、まるで開き直ったかのようにポップ・ワールドを大全開させて作ったアルバム。その最も幸福な産物のようなシングル「キング・フォー・ア・デイ」。もうほんとに好きな曲で、XTC好きを決定させただけでなく、全XTCシングルの中で最も好きな曲。これなんかもう、完全にビートルズなんか超えてたね(って、もちろん自分の中だけでです、すいません・・)。

 この思いを伝えるのは難しそうなので、最後にオリジナル発表時の日本盤の帯(!)の紹介を。これまた素敵です(なんで今はやめちゃったのかな・・)。

 「あなた、できちゃったみたい・・」

 「できたって、お前まさか、XTCか・・」