Xtc / English Settlement (1982)
『 アルゴ探検隊の大冒険 』 | |
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XTCはどのアルバムも素晴らしく、ベストを挙げるのが難しいけれど、このアルバムを最高傑作と呼ぶ人も多い (あと「Black Sea」や「Skylarking」を挙げる人も多し)。 確かに全アルバム中で最も繊細な職人芸的音作り、綿密に計算された密室性の高さなどは、アルバム・タイトルが示す通り、実に英国的。ナチュラルさの中にストレートに出るポップさは、他のどのアルバムより無邪気であるような気もします。 デビュー時のパンク的なアプローチから、まさにニューウェイブの先駆的作品を創り出してきた彼らが、そのダイナミックさやエキセントリックさよりも、よりポップ・センスを前面に押し出し、アイデアを縦横無尽に展開させたような作品。 この頃からライブ活動を行わなくなったことが、彼らの音のダイナミズムを失わせてしまった、と見る向きもあるけれど、それは逆に、更なる緻密なポップ感を生み出させた、とも言えると思います。 特に僕が好きな曲は、割と内向的な展開ながら、印象的なギター・リフが圧倒的な広がりをみせる「Jason And The Argonauts(63年の同名映画からのタイトルと思われる)」と、このアルバムの中では最もニューウェイブ的な「Fly On The Wall」です。机の奥の大切な引出しのようなこのポップ・アルバムの中に、絶妙にアヴァンギャルドとロックさを溶け込ませているところが、さすがイングリッシュ・セツルメント(英国人)、職人です。 |