Somewhere, but here

     ハマースミス宮殿の白人

 

 

     
  真夜中から6時まで

ジャマイカから初めてやってきた

ディリンジャーとリーロイは抜け目なく、

デルロイ・ウィルソンはクールなオペレーター。

UKのポップ・レゲエにはケン・ブース。(注:すべてレゲエ・ミュージシャンの名)

バック・バンドは正確に音を刻む。

彼らが何か言いたいというなら、

そこには聴こうと傾ける沢山の黒人の黒い耳がある。

 

(でも、)徹夜でやってるのはフォー・トップス。(注:有名なソウル・グループ)

ステージの下手からアンコール。

ベースは攻撃的に、トレヴルはナイフ だが、

ステージの上では奴らには

ロック反逆者のルーツも感じさせない。

 

なぜなら奴らは、あんたたちをどこにも

連れていっちゃくれないからだ。

あんたの銃をコケにしてるんだ。

(革命があったわけじゃなかったのさ)。

軍隊が、そこで待ちかまえてるんだ。

そいつは15,000トン、がっちり重い。

 

白い肌の若者たちよ、黒い肌の若者たちよ。

別の解答を見つけるんだ。

 

UKのパンク・ロッカーたち・・。

どっちにしろ、奴らは目もくれない。

奴らはみんな、戦うことに必死だからさ。

電光のもと、より良き場所を求めて。

 

新しいグループたちは

世界で何を習うか、そんなこと何とも思っちゃいない。

奴らにはバートンのスーツがある。

ハハ、おかしいと思わないか?

反逆を金にしてやがる・・。

 

そこでも、あそこでも

人々は外套にあわせて、

投票の相手を変えていきやがる。

今日、アドルフ・ヒットラーがやってきてみろよ。

奴らリムジンで出むかえるに決まってるぜ。

 

おれは、夜毎さまようドラッグ・ウルフ。

明るい太陽のもとじゃ、病的にすぎる。

おれは、黒人が革命を起こしたと錯覚した

ハマースミス・パライス(ライブハウス)の白人さ。

(何かが変わると一瞬だけ信じられそうな)

楽しみだけを求めてる。

 

 

The Clash :

(White Man) In Hammersmith Palais

 

 

クラッシュはバンド最初期からこの歌のようにレゲエを好んで取り上げていた。

それは音楽的な趣味はもちろん、

そこにパンク・ロック同様、レベル(反抗)・ミュージックの匂いを感じたからであり、

その姿勢は最後まで変わることがなかった。

しかもこの曲はパンク革命の嵐が吹き荒れる中で歌われながら、

すでにパンク理念の行き詰まりを予言的に歌っている。

ここに、時代とともに共鳴し、

それゆえ粉々に砕け散ってしまった彼ら(特にジョー・ストラマー)の、

批評的な鋭さが見え隠れする。