はじめるにあたって
この一連の文章は、僕が最初の会社を辞め、無職だったときに、近郊の街を歩いたささやかな旅の記録です。期間は、2002年の1月を中心に、3月までの記録が綴られています。 ちょうど30歳になったばかりの頃で、就職以来、初めて自由な時間がたくさん出来たときでした。20代は殆ど会社で過ごしてしまったし、だんだん休日にもどこにも行かなくなってしまった頃のことで、このときの経験は、その後の一つの転機になったと思います。 文章は、いま読むと恥ずかしいところや、直したほうがいいようなところも多々あるのですが、記録としてなるべくそのまま残すようにしました。もちろん、関係する人たちに迷惑がかからないよう、少し変えた部分もありますが、基本的にはその時の感情が分るようにしてあります。 この後4月の後半に就職が決まって、5月から働き始めるのですが、当然この文章になっている時期にはそのへんは未定でした。まだ現実の重さが分っていなかった余裕と、その分の自由さと、少しの不安みたいなものがありますが、今思うと、幸せなときだった気がします。 その後その会社も辞め、また歩くことになるのですが、それはこのコーナーの別のページにあります。その時には、まったく思いや感情が変わってしまうことになるので、置かれた状況や時期で、いろいろなことは変わってしまうのだな、ということを実感します。 ともかくも、まだまだ世間知らずで、その分自由な発想をもてた頃の記録を読んでいただけたら、と思います。 (2004.1.) |