八景島 (横浜市金沢区)

 唐突に現れた美しい橋を渡ると、そこは八景島だった。そしてこの島は、まるで人工的に造られたアミューズメント・パークだった。島全体にジェットコースターやメリーゴーランドや水族館が立ち並び、そこを自由に行き来できるのだ。6時を周り辺りは真っ暗だったが、施設は9時までやっていて、どこもまばゆい光を放っていた。平日のこの時間、歩いている人間はほとんどいない。時折現れる人影は強い海風に押され、目のくらむ光の中へと逃げ込んでいた。

 だから、つまり、人のいないところでなにもかもが動き、光を放っているのだ。それはあまりに幻想的だった。誰もがきっと夢見る、深夜に動く、自分のためだけの遊園地。魔法にかけられたような時間。まさにそのものだった。

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