There Is A Light That Never Goes Out

 

学生時代の秋のある日、

友だちが通っていた大学の屋上に上って、3人で夜景を見ていた。

小高い丘の上にあるその場所からは、いろいろなものが見渡せた。

ぼくが通っていた大学や、新宿方面の明りや、

オレンジ色の電灯の中央高速道路など。

遠く向こうでは飛行機が横田基地に降りようとしていた。

ぼくたちは買ってきたカクテル・バーを飲んだり、柵にもたれたりして、

ぼんやりその場所に座っていた。

なにもかもがゆっくり流れ、穏やかで、

そんな時間はずっと続いていくような気がした。

 

 

友だちは就職活動はせず、実家の方で臨時教員になった。

今では高校生たちに社会を教えている。

別の友だちは転勤した後連絡をとっていない。

ぼくは東京にいて、まだ働いている。

3人の中では、一番社会性がなかったのに。

 

 

永遠なんてないし、

時間はどんどん流れていく。

ぼくや誰かが何か願い、

彼や彼女が同じ場所に戻ってきたとしても、

何がどうなるわけでもない。

 

 

「もうあまり会えないかもしれないね」 と友だちは言った。

ぼくたちにはそれぞれの生活があって、それぞれの毎日がある。

 

 

彼らがどうなったところで、ぼくが変るわけでもない。

それでもあの時広い夜空の下で、

ぼくたちの間を流れていったゆっくりとした想いは、

半永久的に朽ちることはないんだと思う。

 

 

(1999.2.22)    戻る