Should I Stay or Should I Go?
「きみの部屋の壁に貼ってある、ジョー・ストラマーのポスターがはがれ落ちる・・」 アズテック・カメラのロディ・フレイムは、かつてそう歌った。ポスト・パンク期の、熱気の後の醒めた感覚と喪失感を、見事に捉えた歌だった。 いつしか、パンクは終わってしまっていた。正確に言えば、無残な夢の、劣悪極まりない残骸だけを残していた。あれほど熱気を帯び、世界を自分たちの手で作り変えるはずだったのに、現実なんて、やはり越えられるものではなかったのだ。 でももっと言ってしまえば、周りの誰もがそこまでついて行かなかったのだ。闘うためには自身もストイックでなければならない。そこまで自分を追い詰めるなんて考えていなかったし、だいいち、生きるために自ら進んで命を縮めようなんて、普通は誰も思わない。 ジョー・ストラマーとザ・クラッシュは、最初から最後まで闘い続けた。そして最後には、巨大な現実に向け、まさに体当たりしようとしていた。誰もがその姿にしびれた。そして誰も同行はしなかった。そのままクラッシュは体当たりを敢行し、粉々に砕け散ってしまった。 正直に言うと、僕はずっとクラッシュみたいになりたかった。世界にある不正や欺瞞に正面からぶつかり、怒り、全力で打ち壊そうとする。すごくかっこよかった。曲のタイトルのように、心の中でいつも選択肢は2つしかないと思っている。そう、行くべきか、とどまるべきか。曖昧な中間点なんていらない。ステイ・オア・ゴー。ずっとそう言い聞かせてきた。でも、本気でそんなこと言えるのは、この世の中でほんの数えるくらいの人しかいない。 ジョー・ストラマーは最高のロッカーだった。クラッシュは最高のバンドだった。訃報を聞いて大音量でクラッシュのアルバムを聴いていたら泣けてきた。 今はただ、ずっと音楽を聴き続けるよ。でも、ジョー、いきなり遠くへ行ってしまうなんて、あんまりだよ。 |
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