Rock
               Radiohead / Amnesiac (2001)
   

 

 ここ数年最近の音楽動向にほとんど興味を示さなくなった自分も、レディオヘッドだけは聴いている。アルバム「Amnesiac」の最初の印象は・・。

  ・・・。

 (いや別に悪いと言っているわけではなく・・)

  この間(わずか8ヶ月前)の「KID A」はすごく良かった。初めて聴いたときの衝撃。これはほんとうに素晴らしいと思った。たとえ他の多くのひとが否定したとしても、全力で擁護するくらいの意識。

(しかしその後ほとんどのひとが賞賛していたけれど)

 それに比べ今作は、非常に混乱している。もともと「KID A」と同時期に作られたこと、レコード会社に2本のマスター(「KID A」と「Amnesiac」)を渡し、どちらを先にリリースしてもいいと言ったこと、先行シングルの曲調など、内容的にはある程度予測できたが・・。

 なんだか別世界のよう、とでも言ったらいいか。混乱のまま、あらためて「KID A」を聴いてみる。素晴らしい。しかも今聴きかえしてみると、驚くほど躍動的で、起伏にとみ、(いい意味で)かなりクリアーな音になっている。

 そうしてみると、このアルバムはどうなんだろう。確かに音は似ているけれど、内的に潜行し、バラエティにとんだリズムは落着いてしまい、音のインパクトは、よりヴォーカルのみが目立つようになっている。

 「KID A」で何かを成し遂げてしまったのだろうか。攻撃的なビートは、もう必要なくなったのだろうか。それともまた、あのKID Aが、怒りと混乱と絶望の世界から、より静かで諦感な世界に還ってきたのだろうか。

 

 混乱はいまだ続いている。あるいは永遠に理解できないかもしれない。けれど、いつか視界が一気に開ける日が来るかもしれない。Amnesiac=記憶喪失者は、ほんとうは多くのことを知っているのかもしれない。あるいは、消えていくただのつぶやきか。それまでは、レディオヘッドも音を鳴らし続けるだろう。