Peter Gabriel / Peter Gabriel V (1980)
『 侵入者、異邦人 』 | |
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これこそシーンに衝撃を与え、その後のニューウェーブの流れを決定づけた戦慄の一枚。 ゲイトリヴァーブを使った歪んだドラムが空間中に響き渡り、異様にパーカッシブでダイナミックなサウンドが炸裂する。 そこに漂うのは、乾いた質感と、おもいきり歪んだギター、張り詰めているのに、どこか温かさを秘めた歌声。それまで存在しなかった、全く新しい異世界。予想もせず、想像すら出来なかった世界に、「イントゥールーダー」は突如侵入してきた。あまりのことに誰もが呆気にとられた80年、シーンは瞬く間に、このパーカッシブな音に塗り替えられてしまった。 ジェネシス脱退後、ソロになったピーター・ガブリエルの3枚目。プロデューサーのスティーブ・リリーホワイトと組んで、それまでの叙情的なサウンドから一転、躍動的でリズミカルに変化したサウンドは、何と言ってもそのリヴァーブを使ったドラム音が衝撃的だった。また、リリーホワイトにとっても、評価を決定づけた一枚。 さらに、もう一つ重要なのが、最終曲「ビコ」における、アフリカン・サウンドの導入。この後、80年代後半に起こった世界的なワールド・ミュージック・ブームは、まさにピーター・ガブリエルが先頭に立って起こっていったものであり、以後のアルバムではますますその度合いを深めていくわけだが、その潮流はまさにここから始まった。 大胆な手法と確かな先見性。このアルバムは、今なお十分に刺激的である。仮にニューウェーブのアルバムを数枚しか聴けないのだとしたら、その内の一枚は是非これにしてほしい、大傑作アルバム。
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