土曜日の夕方、

まだ陽があるうちに家を出て、

車で湘南海岸まで行った。

 

路の途中、テープでいろいろな曲を聴きながら、

窓の向うの通り過ぎて行く風景を眺める。

ピンク・フロイドとウィスパーズの曲が流れ、

それがとてもよく合っていた。

 

始めに厚木まで出て、

そこから海に向け南下していく。

学生の頃、バイクでよく走ったところだった。

よくこの路を通って、海まで行っていた。

その頃にはいろいろなものがきっとこの先の、

遥か彼方にはあるような気がした。

 

すっかり夜になって、

平塚の海に着いた。

路の両側にイエローの外灯が続いていく。

車を降り浜辺まで行った。

波が強く、遊泳禁止の浜は明りもなく、波の音が静かに繰り返し響いた。

時折向うの灯台の光が海の上をかすめていく。

人は誰もいなかった。

砂の上に腰を下ろし、海を眺めた。遠く向うで小さな花火が上がった。

静かにゆっくりと、夏は続いていた。

 

帰り道、第三京浜を飛ばしながら、ぼんやりいろいろなことを考えた。

遥か彼方にあったものは、

ほんとうは自分自身だったのかもしれない、

と思った。

(2000.7.16)    戻る