変わり種だけに惜しい


○ YSSM TZR250


(RIDERSCLUB誌 No.179 1991年) 前輪のサイズと、それ故の動バランスに注目。

提案型の商品がまるで受けないこのニッポンにあって、これは濃かった。
見た目に変わってはいたが、そのコンセプトの幾つかは頷ける内容だったし、正しくもあったと思う。

上の画像は、貴重な?YSSMの走行シーンである。
そのコンセプト通り、曲がりたがるリアを妨げない前輪周り。
(さすがネモケン。)

当時の記憶を呼び起こすと、高価でレア、元となった機体の信頼性等、懸念事項もあったが、やはり、これに踏み切ることを躊躇させる一番の要因は「将来性」ではなかったろうか。

「結局、これに乗れた所で。」

今「正しい」技量を身に付けた所でどうなる。
当時でも、もうその位、状況は絶望的だったような記憶がある。

ビルダの豊富な経験と「熱さ」がなし得た機体ではあったが、
個人的には、もう少し一般化というか「昇華」のような展開も欲しかったと感じていた。

などと書いてみて、ただの見た目の印象で、よく言うもんだと自分でも思う。
こういう物を個人が実際に生み出すというのは、それは大変なことなのだ。

思えば、まずそれが、これの価値だったのかもしれない。

彼の弟子達は、今、どうしているのだろうか。


○ YAMAHA SDR200

(当時のカタログより)

実物は、本当にナンだオマエ?というくらい細い。
もう、尻に挟んで歩けるんじゃないか、というくらい細い。
(タイヤはちょっと太すぎ。)
エンジンは2ストシングル。ノンカウルの車体はシンプル極まりない。
が、フレームや各部の仕上げはいい。(すぐ錆びるけど。)

アライメントは意外とコンサバで、実直そうな印象。
なんて分析をするまでもなく、この車重では、人間の操作が、挙動にもろに出るだろう。

つまりだ。こいつに乗れば、もうアナタのクセ丸出し。
パンツ脱いで乗ってるようなもんよ。(笑)

冗談はさておき。
ライディングに迷った時。ふと、こんな物に触れたくなること、ありませんか?。

「一度、原点に帰ってみよう」
そういう手段が持てるのは、幸せなことでもあるのです。
(戻れない人、いっぱい居るでしょ?。俺もだけど。)

当時は、同じようなコンセプトを、125ccのスポーツモデルに求めている方も、少なからずいらしたように思う。
こういう選択肢をこそ、豊富なラインナップを誇る日本のメーカーが担うべきだと思うのだが。既にその余地は失われてしまったようだ。(どうしても、と言う方は、アジアのメーカーを注視した方が、期待が持てるかな・・。)


○ TDR250

(当時の広告より)

あの、レプリカTZRのパラレルツインをそのまま積んだ、強引な(笑)オフ車である。
よくもまあこんなものを売っていたもんだ、というくらい、何と言うか、思い切りが良いモデルだった。

デビュー当時、俳優を起用して砂漠ラリーに出るなどしていた記憶がある。みんなリタイアしていたが。(まあ確かに、こんなもんで砂漠をぶっ飛ばして平気なのは、風魔さんくらいのもんだろう。)

当時は、パリダカ等の影響もあり、ラリーコンセプトのオフロードバイクが注目を浴び始めていた頃だったように思う。だが、結局は大排気量4ストの巨大なモデルばかりが目立ち、敷居が高すぎて日本では普及しなかった。

今思うと、TDRは、日本の状況(道路環境、ライダーの体格など)に合わせて、ラリーバイクのコンセプトを昇華できる可能性があったんじゃないかと思うのだが。短命に終わってしまい、残念だ。跡継ぎもいないし。

今これに、倒立、強化リムハブかましてリデザインしてよみがえらせたら、モタードなんて笑っちゃう位、最強なモデルになるんじゃなかろうか。意外とツーリングもし易そうだ。

(当時の広告より)
日本ではありえない状況だな・・。


○ KAWASAKI KR250

(当時のカタログより)
いやに乗れてるな〜と思ったら、キヨさんじゃん!

2ストレプリカ全盛の当時から少数派で、トラブルも多くてオーナーは泣いていたような記憶もあるが、スタイル、アーキテクチャ共に、類似するものが全くない。そういう意味で、大変に希少だし、面白いバイクだったと思う。

大体、量産車でタンデムツインというのは、これくらいじゃなかろうか。(東欧の変なバイクとかはナシで、の話よ。)

上のカタログの画像を見ると、F16/R18のクセ丸出しで(笑)結構懐かしく遊べそうだ。(タイヤはないかも。)

今、KRをキレイに乗っていたとしても、自慢できるかどうかは微妙だとは思うが、もしそういう方がいらしたら、私は是非お会いして、お話を聞きたい。
あっ、写真も撮っていいですか?。銀塩です当然!。(笑)



※ 以下続々!?


ombra, et al. 2006年 2月

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