きままに的生活
日々思うこと、いろいろを思いつくまま・・・

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118 2001.10.17 夫婦ゲンカ


ただいま夫婦ゲンカ中。ま、理由はやっぱり「犬も食わない」というくらいだから省く。我が家にとっての一大事も、第三者から見れば「そんなもの」なんだろうし。

時はよりによって10月15日、記念すべき13回目の結婚記念日であった。まだ子供も起きているという夜9時に、私は思わず家を飛び出した。

結構よくケンカする方らしい我が夫婦。以前、子供会役員の慰労会で話していたら、ほとんどのお宅は「滅多にケンカなんかしないよ。ケンカにならない、っていうのかなぁ」なのだそうで、お互いに驚いた。

普通、どちらかがカァーっとくれば、まあまあとなだめるのが相方なのだろうが、ウチは「なにおっ!」ってな感じでお互いにラチがあかない。性格は似ているとは思えないのだけれど、なぜかどちらも引かない、譲らない。

だからワイワイやりあって後はスッキリ、というのが今までのパターンだったのだが、今回は違うのだ。

夜9時、繁華街なら宵の口なのだろうが、地方の住宅街の夜は静かで暗い。怒りにまかせて近所の駅まで行った。時刻表を見ると、新幹線はとうに終わってしまっている。夜間は無人駅となるこの駅に、ちょうど盛岡行きの列車が到着したところだった。乗れるわけもなく、出ていくのを見送ったあと、しばらく立ちつくす。

私には小学生の子供がいる。ちょっとやそっとじゃ動かせない頑丈なケージに入った鳥たちがいる、大きな水槽に入ったデカガメが、ハムスターがいる(^0^;; 子供会の会長もやっているし、仕事も放っては行けないし・・・。

ちょっと今の状況は私には不利だ。私所属の扶養家族が多すぎて、家出なんて到底ムリ。

さて、どこへ行こうか。友人宅はどこも一家団欒の最中であろう。こちらに来てからは子供関係の友人ばかりで、家に転がり込めるような独り者の友人はいなかった。足はとにかく家から離れることを望んでいた。たどり着いた深夜まで営業の書店の中は暖かく、立ち読みしている人の姿がやけに嬉しかった。あえて人のいる書棚を選んでそこにいる。目は背表紙を追っているのだが、目の前を活字が素通りしていく、という感じ。

少しして、ケータイが鳴った。家の鍵は置いてきたのに、バッグにはケータイが入っていたのだ。このままここにいるわけにもいかないし、とケータイに出る。オットからだ。

「家の回りを探したけど、いないから。鍵、開けておくから」

「・・・迎えに来て」

自分から出ておいて、なんて勝手なヤツ、と思う、自分でも。しかし、怒りにまかせて歩いては来たが、夜道は物騒だった。このすぐ近くの居酒屋で飲み会のお誘いがあったとしても、帰る方向が同じ人がいないときはお断りしているというような場所だった。

それに、迎えに来てもらって帰る道々、二人で話せるのではないか、という期待があった。

オットは迎えに来た。しかし、話は出来なかった。私は自分の気持ちを話したのだが、オットは黙ったまま。一言、「ちょっと言い過ぎだったかもしれない、ゴメン」と言っただけだった。これでは、私の聞きたかった答えにはならない。私の言葉に対する、彼の言葉が聞きたかったのに。

家に着くと、やはりオットは何も言わず、そそくさと部屋に入って寝てしまった。とにかく私が家に戻って、自分が謝って、それで平和解決か? これで、「何もなかったこと」にするつもりなのか?

私は気がすまなかった。眠れずに本を読みながら起きていたが、オットはいつものようにトイレに起きてきて、こちらも見ずに戻っていった。そして時計は12時を告げ、生涯忘れられないであろう記念日は終わったのだった。