きままに的生活
日々思うこと、いろいろを思いつくまま・・・

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117 2001.8.13 渡る世間は・・・


今年もお盆がやって来た。私のような不出来なヨメにとって、盆と正月(暮れ)は二大イヤナコトイベントである。

今年は特に、子供会の仕事が加わって、なかなかオットの実家へ行けないでいた。我が家にとって、それは平穏無事で心安らぐ期間なのであるが、実家では決してそうは思ってはくれない。

お墓参りの前日、不安をつのせながら実家到着。夕方、二番目のお義姉さんから電話があった。私は素直に不義理を詫び、明日の準備のための指示を仰いだ。

オットは三人兄弟の末っ子、上二人は姉であって、実家近くに上のお義姉さん、車で30分ほどの隣町に二番目のお義姉さんが住んでいる。お義母さん亡き後、実家のお義父さんの世話をしてくれている。ポツンと隣県に離れた我が家にとってはアタマが上がらない状態なのであるが、やはり行くたびに何かしらのグチやイヤミはつきものであり、こちらの分が悪いとはわかっていながらも、度重なれば心もどんどん重くなる、というものである。

「じゃあね、お赤飯炊いておいてくれない?」

お墓参りに持参する折り詰めには、お赤飯と煮物、天ぷらなどの料理を詰めなくてはならない。本家やら親類縁者の分も含めて5つほど作る。さらにお墓参りに来る甥っ子たちのお昼用にと、私は8合のお赤飯作りを仰せつかった。

お赤飯・・・炊いたこと、ある?

今回、もしかしたらこんなこともあろうかと「もち米料理の本」なる新聞のオマケでもらった小冊子をしっかり持参してきたのだ。大丈夫、まっかせなさいっ!と受話器を置いてうなづく自分。名誉挽回、汚名回復のチャンスである。

しかし、この本がクセモノだった。出来上がったのは大量8合もの小豆もち。炊飯器のフタを開けた私はしばし目を疑った・・・。

「何これ! 小豆もちだなんて、もちに失礼よっ。捨てればっ!」

お赤飯が失敗していた、と知ったお義姉さんは冷たく言い捨てた。私は本のとおり、もち米だけを使って炊いたのだが、どうも2対1の割合で普通の米を入れないといけなかったらしい。早速お義姉さんの指図どおり、3合のお赤飯を炊き直す。あ〜あ、情けない。汚名ぬりたくり、である。

「だいたいねぇ、こういうのは何ごとも経験なの。経験不足なのよ、アナタ。しっかり経験して行きなさいねっ!」

語気荒く煮物を大鍋に山のように作るお義姉さん。私はなぁ〜んにも言い返せずに、心から反省していたのだった、そのときは。

「まったく、普段なんにも作ってないんじゃないのぉ」

さすがの私もこの言葉にはカチンときた。これでも仕事の合間をぬって、私なりに家族のためにゴハンは作り続けてきたのだ。独身のころはほとんどしなかった料理も、結婚したからにはと危なっかしい手つきながら奮闘してきた。手作りに憧れていたハンバーグや、ホワイトソースから作るシチューもどうにかこなしてきたのだ。なじみない田舎のしきたりにあわせようと、亡くなったお義母さんの味を思い出して作ってみたり、おせち料理の無かったお正月をどうにかそれっぽく、と毎年イロイロ試してみたりもしている。それなのに、このお赤飯でここまで言われなければならないのだろうか。

もち米も、ワサワサと出てくるボーフラのごとき害虫どもをせっせと取り除きながら、8合も研いだのに。

結局、甥っ子たちは昼食は済ませてきたからと、炊き直したお赤飯も山のような煮物も減らなかった。「経験していきなさいよっ!」の捨てぜりふとともに帰っていくお義姉さん。私たちとお義父さんでは、とうてい食べきれるはずのない大量の赤飯と煮物を残して・・・。

お義姉さんが親切に作ってくれた煮物は、かなり濃い味付けで3日経ってもなかなか量は減らなかった。お義姉さん一家は、毎日この味を食べ続けているのだろうが・・・。後でお義姉さんが煮物の残った鍋を見て悲しむといけないと思い、夏場でもあるし、これはコンポストへと移しておいた。

私の小豆もちは、「お母さんのお赤飯がイイ〜!」と健気に食べてくれる子供達と池の鯉によってどうにか消費された。

帰宅した夜、ぼんやりとテレビを見ていたらお義姉さんに似た女性が出てきてガハハと豪快に笑っていた。途端にやりきれない怒りがこみ上げ、「イヤなこと、いっぱい言われちゃった」とポツリとこぼしてしまった。

「オレもさんざん言われたよ。アタマにきたけど相手になるとキリがないから我慢した。ゴメンね」

意外にも優しいオットの言葉に、私だけがつらかったんじゃないんだとハッとした。今までグチなんか言っても聞き流されるだけだったのに。よっぽどオットもこたえていたのだろう。

ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」じゃないけれど、きっとこんな話は山ほどあって、もっともっと大変なところもあるはずである。この話も単なるグチに過ぎないけれど、ちょっと書かずにはいられないって思ってしまった。私は心の狭〜いニンゲンである。

世のおヨメさん方、負けずに頑張りましょう! 今日の怒りは明日への活力!