とにかく筋金入り?のコーヒー中毒だったはずの私が、なぜか最近紅茶を飲むようになった。
きっかけなんかどこにでも転がっているモノだな、と感心する。根っからの単純明快な性格なのか。
ある日、電車に乗って盛岡駅周辺まで出掛けたついでに、大通りまで足をのばして久しぶりにドトールでコーヒーを買って帰ることにした。こちらにはまだスターバックスは無い。あちこちのコーヒー屋さんに飛び込んで思いつきで豆を挽いてもらったり、スーパーに並ぶパッケージをにらんで買ってみたりというのが私のカフェイン生活だ。
「器具は何をお使いですか?」
いつもの店員さんの問いかけに、あっさりと「ペーパーフィルター」と答えると、だいたい私には薄いコーヒーになってしまう。妹が東京のスタバで買ってくれる、というので「細挽きにしてもらって」と頼んだら、意外な顔で何度も確認されてしまったという。普通のブレンドを細かく挽いて飲む人なんておかしいのだろうか。
「ペーパーフィルターなんですけど、いつもそれだと薄いので、細かめに挽いて欲しいんですが」
店員さんはにっこりと笑顔で「それでは、普段より2つほど細かめにしてみますので」と応えた。私の言わんとしたことが理解されたようで嬉しくなる。
「少々お待ち下さい」と言って豆が挽けるまでの間、デミタスカップにコーヒーを持ってきてくれるのが、こういうお店の嬉しいところ。しかしこの日、差し出されたカップに入っていたのはコーヒーではなかった。
「ロイヤルミルクティーでございます」
えっ、みるくてぃ・・・「私、紅茶飲むと気持ち悪くなるんです〜」とはさすがに言えずとにかく飲んでしまった。意地汚いったら。
ものすごく熱くて、ほんのり甘いロイヤルミルクティーを不覚にも美味しく感じてしまったのは、すっかり寒くなった季節のせいだったのかも知れない。
以来、アタマの片隅に「ミルクティー」という言葉がインプットされてしまったようで、テレビでも雑誌でも本でも、何かにつけ紅茶の話が気になるようになってしまった。
私の好きなエッセイストの岸本葉子さんも、紅茶が大好きで自分流にたどり着いた美味しい紅茶のいれかたを、目に浮かぶような文章で書かれていた。またある雑誌のコラムでは、著名なイラストレーター氏の「朝食には毎日パンとミルクティー、ミルクティーは鍋に牛乳をわかして紅茶を加え、云々」というくだりが妙にアタマに残ってしまい、私の想像はとてつもなくふくらんでいくのだった。
そして週末の買い物で、ついに紅茶に手を出してしまった私。買ったのはミルクティー用ブレンドという、お手軽なティーバックだ。紅茶というのは、高級な葉っぱだから美味しいというのではないそうで、ティーバックでもきちんといれれば、ものすごく美味しいのだという。
紅茶歴の浅い私には、自分の飲んでいるものが「ものすごく美味しい」のかどうかはわからない。しかし、今の自分には合っているような気がする。
沸騰したお湯をティーバックに注ぎ、3分ほど蒸らす。紅茶用のポットが無いのでカップにじか。そしてフタはアルミホイル。しっかり紅茶を出したら、やおら冷蔵庫から取り出した牛乳をドボドボと加える・・・紅茶好きの人が見たら悲鳴を上げそうないれかたであろう。
何ごとにもハマりやすい私は、紅茶道にどっぷりとつかってしまうのがコワイのだ。気軽に、自分が美味しいと思うモノを飲みたい。カラダが受け付けなかった紅茶というものが飲めるようになった、お気に入りをまたひとつ見つけちゃった! というところで今は良いのだと、思っている。
でも、もし「こうすればもーっと美味しい紅茶になるよ」ということを知っている人がいたら、教えて欲しいなぁーとも、思っていたりする・・・。