★さよなら、ピアス
ロボロフスキーハムスターのピアス、日曜から様子が変。
寝床からなかなか起きてこない。
気がつくと、砂浴び場や給水器の前に出てきて眠っている。
ロボハムは、とても小さくてちょこん、とお座りした状態で眠っていることが多い。
だから「こんなトコロで眠っちゃって〜」と思っていた。
つんつんと指で突っついてみてもそのまま。
ヨタヨタと動いても、目も開かない。
だから最初は「寝ぼけてるのかな」くらいに思っていた。
しかし、相棒ナナが元気に回し車を回していても、ひたすら眠るピアスの姿にさすがに「どこかおかしい」と思い始める。
いつでも二匹一緒に行動しているというのに、どうしたんだろう?
今日午前中、ピアスを動物病院へ連れて行った。
移動用のプラケースに移したときも、動かず丸くなっているピアス。
元気な頃は、素早くて捕まえるのに手を焼いたのがウソのようにおとなしい。
体も冷たく、体温がかなり低下している様子。
はあはあと、体全体で息をしている。ピアス、どうした?
病院の先生が言った。
「この時期は、明け方の寒さにやられてしまうハムスターが多いんですよ。冬なら部屋も暖房していて暖かいでしょうが、今のように日中暑く、夜間にグッと気温が下がるようなときは、たちまちやられてしまいます。体が小さいですからね、影響受けやすいんです」
外傷もなく、下痢もなく、突然体調を崩したピアス。
昼夜の気温差が体に悪いことくらい、じゅうじゅう承知のハズだった。
1年経って、すっかり大丈夫、と気を抜いていたかも知れない。
真冬も、一番暖かい部屋にいるし、ケージではなく水槽飼育なので特にヒーターを入れるという対策はしていなかった。
何よりハムスター自身が温度調節が上手で、巣材を調節したり、暑くなれば寝床から巣材だけ引っぱり出して牧草の上で眠ったり、その場所もあちこち移動したりと賢く工夫しているように見えたので安心していた。
しかし、いつもいつもそうとは限らないのだ。
ゴメン、ピアス。気づいてあげられなくて。
先生が栄養剤を数滴、口に含ませると、どうにか飲んだ。
オシリに注射もしてもらった。
とにかく温めてあげること、食べられないだろうから、流動食を与えること。
ヴィダーインゼリーが即効性があると聞いて、早速病院そばのスーパーで買って帰った。「また明日来て下さいね」という先生の声に送られて。
数時間後、ゼリーを与えようとケースのカバーを開けたとき、もうピアスは動かなくなっていた。
命の抜けた体って、どうしてこうも固まってしまうのだろう。
ピアスの名前の由来となった、小さな穴が開いていた耳も、クシャッと縮まってしまっている。保温された体だけが温かかった。
急すぎるよ、ピアス。
去年の次男の誕生日にウチにやってきて、やっと先月1年経ったばかりじゃない。
ついこの前まで、元気に動いて逃げ回っていたじゃない。
どうして、今、逝ってしまわなければならないの?
看病して、そこからもっと仲良くなれるかな、って思っていたのに。
早すぎるよ、ピアス。
やっぱり私は泣いてしまった。
次男が帰宅して、うっすら涙を浮かべてはいたが、情けない母のかわりに気丈にピアスを埋葬してくれた。
遊びに来た友達も、一緒に埋めるのを手伝ってくれた。
しっかりしなくては、と思うけれど、やっぱり別れはつらすぎる。