モスラ闘病記11



キエリボウ氏の優雅な生活
(月刊ALL BIRDS 2000.5月号)
1年後、春の訪れ

 
 モスラの多尿便に驚き、多飲を知り、初めて動物病院の患者となり(取材などでは何度か経験があったが)、ドタバタと1年が経とうとしている。

 こんなに大がかりなことになろうとは思ってもみなかった。
 遠い世界のことのように考えていた通院、投薬の苦労を経験し、絶対に無理だと誰もが言っていたヒマワリからペレットへの切り替えにも挑戦し、現在、どうにか満足いく状態になっている。

 モスラも私もかなり神経質になり、お互いにぶつかってつらい時期もあった。
 涙も、血も流した。
 そして今。モスラは元気である。

 年明け頃から気がついたのだが、フンが固まってきて、あんなに私を悩ませたビチャッとした軟便がなくなってきている。

 実は年末に下痢をして、A先生から薬をもらってから、病院ともご無沙汰するほど調子が良いのである。水をがぶがぶ飲む姿も見られなくなった。

 この前じっくりとフンを見たら、きちんと鳥のフンの形になっていた。おかしな表現かも知れないが、そうとしか言いようがない。誰が見ても「鳥のフン!」と答えるであろうフンとしか・・・。

 エサは、ペレットオンリーにはなりきれず、鳩のエサとオカメインコ用と銘打ったシードミックスを混ぜてやるのが定番となった。
 最近では長男がエサ係を買って出て、私はずいぶんラクをさせてもらっているが、量が少ないのかすぐに鳥達から催促コールがわきあがる(この話は、またあらためて書こうと思う)。

 おやつに果食鳥用のパウダー状ローリーネクターをそのまま与えている。これは、本当は水で溶いて食べさせるそうなのだが、ペレット切り換え時に混ぜて与えていた時からのお気に入りで、ほぼどの鳥でも好む果物の甘さがあるのだという。

 我が家では、鳥達が大騒ぎしてうるさい時などに大活躍している、欠かせないアイテムである。モスラはもちろん、オナガアカボウシのルギア、オカメインコのカックにも効果を発揮している優れモノだ。

 いつも通販で取り寄せていたのだが、最近こちらのショップでも見かけるようになり購入している。しかし、どうも使っているのはウチだけのようで、店頭の在庫がだんだん日に焼けて、パッケージが変色してきていたりして悲しい。やっぱり通販にしようか。

 室内にいても春の気配がわかるのか、毎日モスラが甘えたがってうるさくなった。万年トヤかと案ずるほどであったルギアの羽も、きちんとキレイになってきた。カックは相変わらずの弱虫だが、少し顔つきがキリッとして黄色が増えて「まさか、オス?」と思わずシッポをめくってオシリのシマシマを確認してしまったりする。

 そういえば、3月の終わりに思い切ったカゴの移動をした。
 次男の小学校入学を機に、どうしても学習机を同じ部屋に入れなければならなくなって(夫が兄弟の机を並べたいと言い張るので)、仕方なく狭い家の略図など書き、家具のキリヌキを作ってあちこち置いてシュミレーションしたりして頭を痛めた。

 結局は、机が並ぶのは無理、しかし同じ部屋にどうにか入れるということで納得させ、お鳥サマ御殿は壁際へと引っ越した。
 当初、キッチンに置こうと夫が言い出し、メジャー片手にあちこちはいつくばって調べまくったのだが無理があり、さらに食事を作ったり食べたりするところでカックお得意の「突然ハバタキ」をやられた日には、あたりが目も当てられない羽毛と脂粉の洪水になるのでは、ということで却下となった。

 6畳の和室に、机が2つ、鳥カゴ3つ、クローゼットやタンスがあって、ちょこちょこと各家具の移動もしなければならず、週末を何回も使って、夫も私も嫌気がさしながらやっとどうにか収まった。

 ルギアがものすごい汚し屋で、エサを食べながらカスや殻をカゴ中、そして外にもまき散らしたり、柵にしがみついたままフンを飛ばしたりと「やってくれる」ので、カゴの下には敷物が欠かせない。今まではじゅうたんだったのだが、移動したら畳になり、これではまずいということで試行錯誤し、1畳ほどのビニールクロスの厚手の敷物を購入した。

 最初はかなり大きな安物のじゅうたんを買い込んだのだが、また家具を移動して、じゅうたんを敷くなど考えただけで気が遠くなるということで、急きょ安物じゅうたんは返品され、今の状態に落ち着いている。

「これだと掃除もラクでしょう?」
 なるほど、ビニールクロスなら、フンの水分もしみ込まないし、それなりの厚さと重さがあるので掃除機を一気にかけてエサの残骸を吸い込んでも、一緒についてきてイライラすることもない。
 夫は満足げだが、彼が鳥カゴ周辺の掃除をしたことはなかったと思うのだが。

 読者の皆さんにもご心配をおかけしましたが、モスラは不思議なほど元気で、無事今年(2000年)3月、11歳の誕生日を迎えました。
 長くなってしまったモスラの闘病記も今回で終わることと思います。これからは、ルギアも加わったモスラファミリーのワイワイにぎやかな様子をお伝えしていきたいと思います。
 これからも、よろしくお願いいたします。