朱里が俺の髪をやんわりと掬って、こんなことをほざいてきた。 「スケベは髪が伸びるの早いってホント?」 「は?」 この体勢でそれを訊くか? だが、相手は朱里だ。 これくらいのこと、予測してあって当然の範囲内だと言うべきか。 「突然だな。なぜそんなことを訊く?」 「マックスがさー。今日、そんなこと言ってたんだよね。 髪が伸びるの早くて困るってさあ。スケベだから仕方ないんだけどって。 あいつだってELGの端くれなんだし、やっぱり科学的な根拠があるんかなあって。 それにファラだって……」 「俺?」 「そ。髪、伸びるの早くない?」 そう来たか。 「まあ、ファラは規格外だから仕方ないんだろうけど」 何だ、その規格外ってのは。 そもそも何か? おまえは俺がものすごいスケベだと言いたいのか? いい度胸してるじゃないか。 いいぞ、とくと証明してやるぞ。 「へえ。規格外ねえ。で、その根拠は? とりあえず、おまえの考えってのを聞かせてもらおうか」 「んー、ファラだから?」 俺だから当然だと言いたいのか? ……だが、朱里はあくまで朱里だった。 「ファラさー。夜更かしとかよくしてるじゃんか。 やっぱり、寝てる時よりも起きてるうちのほうが成長機能が活発だってことなのかなあ。 それってさ、つまり夜更かしするほど老けるのが早いってことだよな?」 じっと真剣な眼差しを向けてくる朱里。 「ファラ、できるだけ早寝しよ。じゃないとすぐ老けちゃうし」 目を擦りながらあどけない笑顔を向けてくるこいつは、まさに小悪魔そのものだ。 「あのな、俺はセリーア人であって、おまえに寿命の心配してもらう必要なんかないんだよ」 スケベで結構。 夜更かし、それこそ大歓迎だ。 ってことで再開していいだろうか。 ところがだ……。 「おい、朱里?」 こいつときたら、すでに本気で寝入ってしまってる。 おまえ、それはないだろうが。 「そんなんだから、いつまで経ってもお子ちゃまなんだ」 えみこのおまけ 「使徒星の住人たち」シリーズ moro*on presents
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