タイトル イチゴ色禁区2 秋の神具の奪いかた
シリーズ イチゴ色禁区 第2巻
著者 神崎リン イラスト 文蔵十
出版社 角川スニーカー文庫 初版 平成18年12月1日
評価 ジャンル
  解説
「正樹。私を誘拐しちゃって!」
 …んなバカな!?  なのに俺は結局、亜美と玉城一族長の孫である美代を誘拐した罪で、神社仏閣を管理する「玉城一族」に追われる身に。もともとは長から依頼された任務―玉城の神具“心惑いの玉”を新設の神社に届ける―のための狂言誘拐だったのに。どうやらこの神具には玉城の、そして俺たち二人を巻き込む陰謀が渦巻いているらしく!?
 亜美(スネデレ)と正樹(妄想系)のイチゴミルク・ディスティニー“秋の巻”!
  書評
 イチゴ色禁区の第2巻は、最近ではもっとも低い評価をつけさせてもらった作品だ。
 今回の話は、他人の心を操るという恐ろしい力を持った玉城の神具“心惑いの玉”を護送する任務を受けた正樹と亜美。しかし、護送途中で何者かに“心惑いの玉”を奪われてしまう。その失態を本家に知られるわけにはいかないと玉城一族長の孫である美代が主張するため、彼らは“心惑いの玉”を奪われたことを隠したまま自分たちで探索・奪還するため正樹が美代と亜美を誘拐したという狂言を打つという内容のものだ。
 まず、読んでいて何度本を放り投げようと思ったことだろうか。とにかく話に突っ込むところが多すぎて、内容が破綻している。
 そもそもそんな大事な玉城の神具の護送なのに、簡単に奪われすぎる。事故が罠だと推測しておきながら、ふたりで負傷者救出をやれば早く任務に戻れるといって、のこのこと車を離れる護衛。大事なものを護送しているのに物音がしたからと、気になって車のドアを開ける少女。あまりの間抜けさにあきれるばかりだ。
 そして、神具を奪った犯人も間抜けとしか言い様がない。そんなに玉城のことに詳しいくせに、奪った後の対処がお粗末すぎる。今回の失態を美代が隠そうとしなければ、普通は強奪を本家に報告してすぐに結界を張るなりの対処があったはずだ。それなのに、結界をはられるとは思ってもいなかったという想像力のなさに呆れるばかり。普通は盗むことだけではなく、逃走経路や手段、追跡者への対策などを立ててから実行するものだろうに。
 何よりもまして、美代の短絡的な思考。自分のミスを取り繕うなんて、しかも狂言誘拐など打てばよけい騒ぎが大きくなり、被害が大きくなるだけだ。ラストで堂々とした態度で二人の神子を言いくるめたが、同じことを祖父にでもやって通用するつもりなのだろうか?
 とにかく、ちょっと考えただけでおかしな点がボロボロと出てくるようなお粗末な内容。とてもではないが、お勧めできない作品だ。一応2巻までは付き合ったが、これ以上このシリーズが出ても買うことはないだろう。
≫戻る