タイトル | ガンズ・ハート4 硝煙の彼方 | ||
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シリーズ | ガンズ・ハート 第4巻 | ||
著者 | 鷹見一幸 | イラスト | 青色古都 |
出版社 | 電撃文庫 | 初版 | 2004年12月25日 |
評価 | ジャンル | ||
解説 | |||
西域国の躍進を苦々しく思う東域国。両国の格差を危惧する若き智将シンルーは、東域国の軍事再編に着手する。彼の胸の内には現状を打開する方法──西域国攻略の秘策があった!! ついに東域国は宣戦布告。本隊を囮としたシンルーたち奇襲部隊は南部州グレンダランへと粛々と進む。そこに駐屯するのはあのケリン率いる六三三銃士隊! 悪ガキ対智将、国の命運を懸けた二人の戦いの行方はいかに!? |
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書評 | |||
最終巻となるガンズ・ハートの第4巻が登場だ! ……なのだが、後1巻増えて次の巻まで続くことになったのはうれしい誤算である。 そして、内容はというと、エズオルを鎮圧して教団の懲罰部隊まで撃退した西域国が、これまで禁忌とされてきた技術を次々と開発し、技術革新を起こしていく。一方、懲罰行動が失敗に終えた教団内部でも、禁忌とされてきた知識や技術を選別した上で公開すべきではないかという意見が台頭し始める。 それが面白くないのが、東域国だった。これまで教団の禁忌を守ってきたのに、隣の西域国では禁忌を破って、どんどんと技術革新を続けているのだから、それも当然だ。それどころか、このまま技術格差が広がれば、戦わずして西域国に飲み込まれてしまいかねない。 そして、そこに西域国を快く思わず、また西域と東域を争わせようとする教団の一派が禁忌としていた兵器の知識を与えたことにより、一気に両国の緊張感が増し、ついには……! これが、大まかなあらすじだ。 ついに西域と東域の戦端が開かれる第4巻だが、それも巻のかなり後半に入ってからのことである。では、巻の大半は何があるのかというと、戦争にいたるまでの経緯と東域国の人物紹介に当てられていた。 早く戦略と戦術の限りを尽くした戦いが読みたい人には、何ともじれったい展開で、不満を覚えることもあっただろう。また、著者自身も軍事演習のエピソードや外交交渉の部分を削って、1冊にまとめようと悩んでもいたらしい。 だが、私はこうした戦端が開く前の外交交渉などが入ったことは良かったと思う。いきなり「はい、戦争が起きました」では、何とも中身がスカスカで話の展開に重みがない。しかし、戦争に至るまでの両国の外交でのせめぎあい、すれ違い、そして決断が描かれたことによって、話の展開に重みが増していると感じられたのだ。 また、東域国の登場人物紹介に多くのページを割いたことも同様である。ただ名前があるだけの敵と戦うのでは、まるでカカシを相手にしているようなむなしさがつきまとう。だが、こうして敵となる登場人物の性格や背景を書くことで、血も涙もある一個の人間として描いたことによって、敵味方ともに同じ人間同士の戦いになっている。 しかし、私が今回一番評価したいのは、東域国の若き知将シンルーの登場であろう。 これまで鷹見一幸作品には、愚者vs賢者というような構図がつきまとっていた。これはこれまでにも私が書評であげた問題でもある。だが、今回はいわゆる「好敵手」のような存在としてシンルーが登場し、早くもその智謀の一端を披露したことは、これまでにない展開だ。 今回はまだジャブの応酬にとどまっているが、それだけに早く彼ら若き才能たちがぶつかる第5巻が待ち遠しくてたまらない内容だった。 |
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