タイトル 悪魔のミカタ9 It/ドッグデイズの終わりかた
シリーズ 悪魔のミカタ 第9巻
著者 うえお久光 イラスト 藤田香
出版社 電撃文庫 初版 2003年5月25日
評価 ジャンル
  解説
 堂島コウとアトリ、そして部長こと三束元生と前部長こと縹美樹の四人は、組織に拉致された友人を奪還するため、行動を開始する。とはいっても、相手は組織、こちら側にも相応の準備が必要なわけで……!
 一方、堂島コウを狙うランドール・コーンウォークは、コウと三束元生とを取り違えたまま、なんとなく気になる“あの娘”も助けたい、と思っちゃったりしており……!
 飛び交う大量の銃弾の向こうに答えはあるのか!?
  書評
 悪魔のミカタの第9巻が、早くも登場だ。第1巻が発刊されたのが去年の2月。それからわずか1年3ヶ月で、9巻まで出るとは驚きの限りだ。しかも、内容的にも決して衰えた様子もない。ぜひともこの勢いのまま、どこまでも突き進んで欲しいものだ。
 今回の内容だが、あらすじを読めばわかるように、これまでの相手の《知恵の実》を打ち破るために、知略の限りを尽くした頭脳戦ではなく、前巻に引き続きバリバリのアクションシーンの連続だった。
 特に、複数の男たちを相手に二丁拳銃で立ち向かうアトリの戦闘シーンはすごい。文章は淡々と書かれているのだが、それだけにアトリの行動が静かな興奮を伴って自分には伝わり、手に汗を握って読んでしまった。これまでミステリー風の作品が得意と思っていた著者の作風の幅の広さを感じさせ、思わずうならされる。
 そして、コウとランドールの《It》をかけた対決も面白い。コウにいっぱい食わされながらも、そこで終わるかと思わせておいて、さすがは元《代行者》だ。そこからさらに形勢を逆転する展開などは、読み応えがあった。
 今回は《代行者》とは何なのか? そして、悪魔がコウに期待していることとは? そうした謎が明かされただけではなく、アトリの成長と新たな謎も出て、最初から最期まで一気に読ませられた作品だった。
 もう次の巻が待ち遠しくてならない作品だ。
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